今月のトピック by 村本邦子

2013年6月 女性ホームレスのこと

女性ホームレスとDVについての勉強会の講師を頼まれ、行ってきた。最近では、あまりに忙しすぎるので、継続的に関わってきたものを除き、講師の類をすべて遠慮させてもらっているが、釜ヶ崎をフィールドに頑張っているゼミ生から頼まれたことと、前からずっと気になっていたテーマだったからだ。折しも、若手社会学者・丸山里美さんによる『女性ホームレスとして生きる〜貧困と排除の社会学』(世界思想社)が出たばかりだ。

ずっと関わっている婦人相談員のネットワークで、女性ホームレスについて聞くことはあったが、女性ホームレスの全体像は見えにくい。一般的にホームレスは男性だと思われているし、実際、2012年の厚労省による調査では、女性ホームレスの割合は3・2%だという。私自身も女性ホームレスを見かけたことは数えるだけしかないが、たくさんの動物を飼っていたことが印象的だった。動物と一緒に暮らすことで気持が和むという側面もあるだろうが、女性にとって夜の野宿はとりわけ恐怖を伴うものだからではないかとも思った。

丸山さんによれば、海外ではホームレスの概念は日本より広く、シェルター居住者を含んでいるという。どう考えても、女性ホームレスとDV、性暴力など暴力被害との重なりは大きいはずだ。比較的社会階層の高い家庭であっても、暴力を逃れるために、一時的に公園や車上、ファミレスやネットカフェで過ごしたというような例はいくらもあるし、ましてや、経済格差が拡大し、女性の貧困化、とくに母子家庭と単身高齢女性の貧困化が指摘されている昨今である。丸山さんの調査では、①夫の失業によって夫婦ともホームレスになる ②単身女性が本人の失業をきっかけにホームレスになる ③女性が夫や家族との関係性を失ってホームレスになるパターンがあるという。

支援についてであるが、女性ホームレスが入所し得る施設は、おおざっぱに言って、生活保護による救護施設、更生施設、宿所提供施設、婦人保護による婦人保護施設、母子福祉による母子生活支援施設、無料低額宿泊所や民間シェルターなどがある。縦割り行政と援助者の知識や関心の違いによって、たまたまどこにたどり着いたかによって、その後の結果には大きな違いが生じる。これは個別の支援者の問題なのではなく、制度がうまく設計されていないために多くの支援の場で起きていることである。使いやすい実質的なシステムを構築するうえでも、女性ホームレスとはどういう人たちなのかという視点を持つことは意味があるだろう。

今回の勉強会は、ホームレス支援をするなかで、たまたま暴力被害を抱える女性と出会い、支援がまずかったのではないか、もっと勉強が必要なのではないかという現場の悩みから企画されたものだった。その専門ではない男性たちが、とても親身に支援しておられることには励まされた。その女性に何がしか暖かいものが伝わって、未来の力につながってくれたらいいなと願う。こうやって、関連機関が集まって、一緒に勉強しあったり、情報交換したりしながら、ネットワークを固めていくのはとても良いことだし、地域の力になっていくだろう。今後、このような視点での支援や研究が発展していって欲しいし、自分でもできることを意識的にしていきたいものだ。