2006年6月のきまぐれトピック

「不妊症」とは?

安田裕子

 不妊とは、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、性生活を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない状態」(日本産科婦人科学会用語委員会)と定義されています。その期間は、日本では通常2年とされています。不妊の原因としては、大きくは、不妊原因が夫婦のいずれにあるか、という見方ができます。女性側の要因としては、排卵障害、卵管因子、子宮因子、子宮頚管因子などが、そして、男性側の要因としては、精巣での造精機能障害、精子輸送路通過障害、精嚢や前立腺等の副性器障害、射精障害などがあります。男女双方に原因がある場合もあります。また、一般の検査では異常を認めないものもあり、それは機能性不妊症と言われています。

 男女の生殖機能に何ら問題がない状態があるとすれば、卵子と精子が1回の機会でタイミングよく出会って受精し、子宮内に着床し、妊娠が成立する確率は30%であるとされています。この確立によると、100組の夫婦のうち30組が結婚してからの最初の1ヶ月で妊娠し、残り70組のうち30%の21組が次の周期に妊娠し、2周期では累計51組が妊娠します。このように累計していくと、1年間で99組の夫婦が妊娠するとされています。

 しかし、体調によってはホルモンのバランスが崩れ、生殖関連諸器官が普段通りに働かなくなることも当然あります。そもそも受精卵が子宮に着床するまでには長い道のりがあり、計算通りに妊娠が成立するとは限りません。また、たとえ妊娠したとしても、それが必ずしも出産に結びつくわけではなく、芽生えた命を失ってしまうという辛さを経験する人もいます。なかには、妊娠と流産を繰り返し、お腹の中で赤ちゃんを育てることができない、赤ちゃんを守ってあげることができなかったと、自責の念に苛まれる人もいます。また、子どもを産んで一人前だという周囲の何気ない言葉に傷つき、子どもを産み育てることができない自分は女性として価値がないと思い詰めてしまう人もいるでしょう。子どもは2人いて当然とする考えに負担を強く感じ、2人目の子どもができないことで悩みを抱え込んでしまう人もいます。

 日本では、女性は結婚すれば子どもを産んで当然だとする認識が、まだまだ一般的であるといえます。しかしそもそも、子どもをもつかもたないかということを含め、家族像や将来展望は個々の夫婦によってさまざまであるといえます。実際、不妊に悩み治療に通っている人でも、仕事に専念したり趣味などを楽しんだりする生活と治療を継続する生活とを摺り合わせて考え、子どもなしの生活を選択する夫婦もいます。また、子どもを育てたいと思い、養子縁組で子どもを迎え入れる選択をする夫婦もいます。子どもを産むことができないということで、肩身の狭い思いをしないような社会であればと思います。