女性ライフサイクル研究所 News Letter

No.126

楽しく子育てpart6 〜子どもの発育と発達

小田 裕子

人間の赤ちゃんはたくさんの愛情と世話を要するが、子育ての現状において、その大きな喜びと責任が一挙に親(母親)にのしかかる。こうして、親は子どもが生まれた時から、発達・発育というものを不安視するようになるのではないだろうか。そして、それは社会全体の傾向によって生み出され、助長されてきたのではなかろうか。

子どもが心身ともに「病気・障害」なく「正常」に成長することは、親にとって切実な願いであり、社会にとっても重要な問題である。乳幼児健診をはじめ、医師や心理士などの専門家による健診・検査は、病気や障害を早期に発見するという大きな社会的な役割を果たす。「何歳で何が出来る」という医学・心理学的発達段階論的な見方は「平均・標準」として置き換えられ、「平均・標準」について行けない子どもを「遅れ」または、「病気・障害」と診断・判定し、原因の分析と支援策が施される。しかし、この「平均・標準」は多数派の集団に過ぎず、その側面だけですべての個人を評価することが可能なのだろうか?

心理士として子どもたちを見立て、支援方針を考える時にいつもぶつかる問いである。近年の発達障害ブームとも言える社会的風潮に援助者側の視点と支援を見直す必要性を感じている。「〜障害」や「〜病」という医学・心理学的見立ては、平均や標準を基準にした支援者側からの支援策のための類型化であり、個人と向き合う視点ではない。こうした中で、子どもたちの個性や特徴を障害にしてしまっている節はないだろうか。社会が平均や標準から少しでも外れるものを過敏に問題視し、社会の中で抱えきれなくなっているのではないだろうか。

子どもの発達や発育の特徴を理解していく時、医学・心理学的な視点だけではなく、一人一人の子どもと向き合い、子どもと子どもを取り巻く環境との相互作用を省察する必要があることを今一度確認したい。