女性ライフサイクル研究所 News Letter

No.123

社会科教員として思うこと

前村 よう子

春、卒業生を送り出し、学年末の諸々を終え、新入生を迎えるこの時期が、学校という場所では一番忙しい時期である。新しい時間割ができて、自分の担当する教科や学年とクラスが判明するのもこの時期である。特に今年は授業開始一週間前にようやく担当教科が判明したこともあり、授業準備に追われた。

国語・英語・数学・理科などどの教科でも同じだと思うが、授業というものは毎年同じことの繰り返しではない。毎年自分用の授業ノートを作成し、プリントを作成し、授業案を練る。特に社会科は、政治や経済、世界情勢などと切っても切れない関係にある為、毎年新たな教材を探し、教案を練っている。

授業の為にと調べれば調べるほど、歴史上のある共通点に気付く。1つ目は「スケープゴート」。直訳すると、旧約聖書にある生け贄の山羊のことで、誰か(何か)をターゲットにすることで集団の抱える問題を見えなくして、問題解決を先延ばしにしてしまうことである。そしてそのスケープゴートが、より強く大きな存在であれば、共通の敵となり、皆はより強固にまとまる。例えば、第一次世界大戦後のヨーロッパ社会、特にフランスがドイツに対しておこなった制裁措置がこれであり、そんな中で生み出されたナチ党が、第二次世界大戦直前からドイツの人々を惹きつけたのも、まさにこれだった。

今、日本全体が閉塞的な空気に包まれている。こんな時、共通の敵を生み出して市民に提示すれば、簡単に個々の問題から目を背けさせることができる。身近なところで、それは既に始まっていると感じさせられている。だからこそ社会科の授業を通して、今年は世界史という教科を通して、簡単に誤魔化されず、真実を見極めるための第一歩を伝えていきたいと気持ちを新たにした。