女性ライフサイクル研究所 News Letter

No.118

「やる気」を考える

安田 裕子

興味、関心、好奇心、取り組む面白さやチャレンジ精神を感じれば、報酬や賞賛を与えられなくても、動機づけを高めることができます。動機づけとは、人や動物が行動し、それを維持することに関わる、仕組みのすべてを包括した概念であり、目標達成行動に駆り立てられる過程のことをいいます。やる気と言い換えることもできるでしょう。報酬や賞賛など外側から与えられるものを外発的動機づけ、内側から湧いてくる興味、関心、好奇心、面白いという気持ちなどによって高められる動機づけを内発的動機づけといいます。

しかし、「〜したい」という欲求が常に満たされるわけではなく、チャレンジの過程で欲求の実現を妨害する障害にぶつかることもあるでしょう。そんな時、怒りや不安などの情動的な緊張から様々な不適応行動に陥りやすく、攻撃行動、迂回行動、代償行動、退行、逃避、固執などが生じやすくなります。そうすると、やる気が起きないという悪循環を招きかねません。

また、そもそもやる気が阻害されてしまっている、ということもあります。セリングマンは、犬に電気ショックを与え、自分で止めるといったコントロールが可能かどうかという実験を行いました。どのような行動をとってもどうしても電気ショックから逃れられない経験をした犬は、電気ショックが避けられる状況になっても、じっとして動こうとしなくなりました。この現象は「学習された無力感」といわれ、これと似た現象が人間でも確認されるようになり、人の無気力状態、動機づけの低下を説明する理論として広く知られるようになっています。コントロール可能性が保たれていることは、学習された無力感の予防と内発的動機づけの維持の双方に、重要な条件になっています。

「もともとやる気があったのに、なんだか最近、力が出ない」。そんな時、自分自身が今どういう状況におかれているのかを、少し引いて考えてみるとよいかもしれません。