女性ライフサイクル研究所 News Letter

2009年1月発行第83号

ゲーム依存

安田 裕子

テレビゲーム(以下ゲーム)は強い生理反応を引き起こすことが、様々な研究によって明らかにされている。ゲームをすると脳内の重要な神経伝達物質の1つであるドーバミンの活動が高まり、脳内の化学物質が変化するという。

ドーバミンとは、情緒、意欲、幻覚、妄想と関係する神経伝達物質である。運動や注意力や学習力に作用するドーバミンが適度に働いていると、気分よく活発に生活できるのだが、快楽をもたらす行動(例えばゲームをする行動)がドーバミンの分泌を促すとその行動は強化され、脳はその状態を再現しようとする。その過程で、ドーバミンの働きが過剰になり、情緒が不安定になったり幻覚妄想状態が起こる。つまり、ゲームをすることによって、ドーバミンの活動が高まりゲーム行動が強化され、幻覚妄想様の不安定な精神状態になりながらも、容易に依存症とむすびつくのである。ドーバミンは、統合失調症と関係している可能性があるともいわれている。

人気の高いゲームは、意図的に依存性を高める作り方がなされている。ゲームを攻略したい欲望、競争心、スキルの熟達、冒険、高得点化、物語性のあるロールプレイ、擬似的な人間関係などの要素が盛り込まれているのである。そのなかで、人は、ゲームの仮想世界へとはまり込んでいく。

脳の急成長期に経験したことは、生涯のどの時期よりも脳の構成に深刻な影響を与える。自制心、責任感、人間関係の回路が形成される10代にゲーム中毒になってしまうことが、一体どのような影響をもたらすのか。とりわけ暴力的なゲームは、10代の子どもの脳内で怒りを助長し、良心を低下させることが指摘されている。

子どもがゲーム依存に陥っていないだろうか?周囲の大人は、子どもの変化にできるだけ早く気付くことが重要である。そして、仮想世界での人工的な喜びではなく、身をもった体験でしか味わうことのできない豊かな喜びを感じられる現実生活を取り戻す必要があろう。

参考文献:オリヴィア&カート・ブルーナー,(2007),子供をゲーム依存から救うための本(木村博江訳).文芸春秋