女性ライフサイクル研究所 News Letter

2009年1月発行第83号

トラウマの心理療法−EMDR(眼球運動による脱感作と再処理)

窪田 容子

私たちは、日常を送る中で、さまざまな嫌な体験、ショックを受けるような出来事に遭遇してしまうことがあります。事故、セクハラ、性暴力、犯罪、DV、いじめ、中絶、自然災害、大切な人との死別・・・。直後は、思い出しては辛い気持ちがしたり、そのことにまつわる嫌な夢を見たり、寝付けなくなったりするでしょう。これは、出来事に対する正常な反応です。多くの場合は、時と共に薄れていき、思い出すことも減っていくでしょう。たとえ思い出しても、それほど強い感情がぶり返すことはなくなっていきます。

しかし、時と共に薄れて楽にならない場合があります。いつまでたっても、恐怖や不安が弱くならない、睡眠障害や集中困難、フラッシュバック、悪夢などのなどの症状が続き、日常生活に支障が出る場合は、PTSD(外傷後ストレス障害)の可能性があります。

このような場合、専門家の援助が必要となります。EMDRは、PTSDに対して大変効果的と言われて、注目されている心理療法です。トラウマとなった体験について思い浮かべてもらいながら、カウンセラーが動かす指を眼で追ってもらうといった手続きなどにより、脳が本来もっている情報処理のプロセスを活性化します。それにより、辛い出来事を過去のものとし、心のどこかに落ち着かせるプロセスが進みます。

PTSD以外でも、過去の記憶がいつまでも引っかかっていて症状となっている場合には、EMDRが役に立つことがあります。

ご関心のある方は、あなたの問題にEMDR が役に立つかどうか、カウンセラーにご相談下さい。当研究所のホームページ(トップページ→カウンセリングの流れ→EMDR)、日本EMDR学会(http://www.emdr.jp/)のホームページもご参照ください。