女性ライフサイクル研究所 News Letter

2009年1月発行第83号

より良く暮らすための、認知療法

窪田 容子

認知療法を10数年行ってきたが、自分自身が受けたことも二度ある。一度目は大学院生の頃だったが、二度目は当研究所の認知療法の勉強会で、二人ペアになり、自分の問題を扱って数回のカウンセリングをしてもらったときである。

私は、対人関係の問題を出してみた。子どもの頃、人見知りで恥ずかしがりだった。年を重ねるにつれて、人前に出ることも、新しい人と話すことも、少しずつ平気になっていったが、もう少し社交性があったら楽しいだろうな・・・と思っていた。

認知療法を通して、自分の認知が、感情や身体、行動にどのように影響しているかに目を向け、整理した。社交性がないと思うと、うまくやらなければと力が入り、緊張する。すると自然体ではいられなくなり、ぎこちなくなる。そんなぎこちなさがいやで、社交場面を避けたくなる。認知(社交性がない、うまくやらなければ)が、身体反応(力が入る、緊張する)、感情(いやだなぁ)、行動(避ける)を作り出していく。

数回のセッションを通して、社交性がないという思いは、自分の思いこみかもしれないと思い始めた。そして、自然体で話していたときのことを思い出した。社交上手というわけではないけれど、思ったことをためらいもなく口にし、時に失言をし、笑われたり、「天然」と言われたりしながら、そんな私をおもしろがってもらい、自分も楽しんでいた時のことを思い出した。自然体の私でいる方が、自分も楽しいし、周りも楽しんでくれていると確信した。

認知の変化(上手に振る舞わなくても良い)が起こり、それが身体反応(緊張がなくなりリラックスする)、感情(楽しい)に影響を及ぼし、行動(人中に出ていこう)の変化につながっていった。

避けたいという気持ちはすっかりなくなり、楽しみたいという気持ちが大きくなった。不思議と新しい人との付き合いが始まったり、しばらく交流がなかった人とまた付き合う機会に恵まれた。それはきっと、今までは避けることで逃してきた機会なのだろう。今は、人との関わりが楽しくて、なんだか忙しい毎日を送っている。

人は知らず知らず、その人独特の認知のあり方を身につけ、それを通して世の中を見たり、自分の体験を意味づけている。その認知が、もしもあなたがより良く生きることを邪魔しているのなら、あなたの認知にアプローチすることも試してみる価値がある。