女性ライフサイクル研究所 News Letter

2007年12月発行第70号

楽しく子育てpart2
〜妊娠・出産からはじまる子育て〜

小田 裕子

 子どもを授かり、出産を考えるとき、何を感じ?何を大事にしたいと思う?今回は病院出産と産院のお産から、妊娠・出産のあり方と子育ての関連について考えたい。

 病院の医療ベースの出産は、安全と効率の為に管理され、受け身であることが要求される。そうした管理体制の中では、自分の頭で考え、感じ、こだわることは、医療行為を受ける妨げとなり、葛藤・対立を生む。その為、病院受診を重ねるうちにだんだんと主体性を放棄し、自分の感覚ではなく、診察結果やデーターによる病院任せの判断となり、医療処置を受けやすい患者へと変化していくように思う。

 一方、助産婦との生活ベースのお産は、自分の身体感覚を呼び覚ますことから始まる。体調管理、妊婦体操や呼吸法等を通して、自分の体に目を向けて、感覚を磨き、それを拠り所にしながら、来るべき時に備える。異変を感じたり、陣痛の判断に迷って相談したとしても、まず返ってくる言葉は「あなたはどう思うの?どうしたいの?」という私を主体においた返答。その言葉によって「産むのは私なんだ!しっかり五感で感じて私が判断しなければ!」と背筋を正される。自然の力、人間の力、私の力を信じて引き出してくれる関わりだ。そして、生活に関わる全ての人が、汗も涙も大声も一緒になってその場を囲む、信頼とつながり生むお産。

 子育てに大切なこととは、子どもの様子を自分の五感でもってみて、対話すること。そして、その自分の感覚を信頼できるかだと思うが…そうした自信を持つことが、現代の生活の中ではとても難しくなっているように思う(私たちの生活に医療の力は不可欠である。但し、その恩恵に伴う弊害があることに気付き、適切な利用や選択の余地が増えることを願う)。

 「楽しく子育て」は、妊娠からお産一連の体験から始まるように思う。その始まりが自分の体や五感を頼りに、人や自然の力を信じる機会となるか、その後の子育ての楽しみが大きく異なってくるように思う。そしてそれらの体験は、今後の生き方を自由にのびのびとさせてくれる気がしている。