女性ライフサイクル研究所 News Letter

2007年12月発行第70号

別れを乗り越える

下地 久美子

 人生には、出会いの数だけ別れがあります。なかでも、恋人との別れ、離婚、肉親との死別は、言いようのない深い悲しみをもたらします。そしてその感情は、相手に対する思いが強ければ強いほど激しいものとなります。時には、自分自身の生きている意味が失われ、何をしても喜びや楽しみを感じられなくなったり、人と会うことも億劫になってしまうこともあるでしょう。時、それを表すのは控えめにしないといけないと思っていませんか?

 愛情や依存の対象を失う体験を心理学では、「対象喪失」といい、対象喪失後に生じる一連の心理的過程を「悲哀」と呼びます。愛する人を失った時に、悲嘆にくれるのは自然な反応で、絶望感、後悔、自信喪失、罪悪感、怒りなど、さまざまな情緒を体験します。やがて、感情の嵐が通り過ぎたあと、別れを受け入れ、自分なりのストーリーや意味づけがなされます。そのプロセスを経て、人は前へと進んでいくことができるようになるのです。

 別れの悲しみから立ち直るには、3つのT、「Time」(時間)、「Tear」(涙)、「Talk」(話す)が必要です。悲しみと向き合うのは、大変な苦痛を伴いますが、時間がたつにつれて、感情の激しさも和らいできます。泣くことは、緊張を解放し、心のバランスを保つ効果があります。そして、否定的な感情を他者に打ち明け、それを受け止めてもらうことは、癒しへとつながります。つらい別れを経験すると、そのことについて考えるのを避け、早く忘れようとする人もいますが、結局は、悲しみの渦から抜け出せなくなってしまうことが多いものです。

 カウンセリングでは、別れのつらさを乗り越えていくプロセスを共に歩んでいきます。別れの苦しみから逃げずに、自分自身をふりかえり、出来たこと出来なかったことに思いを馳せながら、失ったものを別の形にし、それが人生に与える意味に気づくことができれば、ゴールは、もうすぐです。再び、新たな人間関係を築いたり、新たなことに挑戦する勇気がわいてきます。そこに、前よりも成長した自分を見つけることでしょう。