女性ライフサイクル研究所 News Letter

2007年7月発行第65号

トラウマ反応とケア

西 順子

 女性ライフサイクル研究所では、設立以来、トラウマからの回復のための心理的援助に力を入れてきています。ここでは、トラウマとは何か、トラウマがもたらす心理的影響としてトラウマ反応についてお話したいと思います。

 〈トラウマとは〉一般的に、心身に不快をもたらす要因をストレスと呼んでいますが、ストレスが非常に強い心的な衝撃を与える場合には、その体験が過ぎ去った後も体験が記憶の中に残り、心理的な影響を与え続けることがあります。このようにしてもたらされた心理的な後遺症のことを、「トラウマ(心的外傷)」と言います。
 〈トラウマ反応〉トラウマが与える心理的な影響のことを、「トラウマ反応」と呼びます。トラウマ反応は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)が代表的ですが、うつ、心身症としてもあらわれます。これらは、極度のストレスに対する人間の正常な反応の一つです。
 PTSDの主な症状は三つで、(1)侵入的症状、(2)回避症状、(3)過覚醒症状です。(1)侵入症状とは、トラウマとなった記憶、イメージ、臭い、音、その感覚が、人々の生活の中に「侵入」してくることです。フラッシュバックや悪夢など、侵入症状は極度の苦痛を引き起こします。(2)回避症状とは、トラウマとなった記憶を思い出させる状況、人、出来事を避けることです。苦痛を避けることで、親密な付き合いから引きこもったり、愛や喜びといった感情を経験することができなくなることもあります。(3)過覚醒症状とは、トラウマ体験によって、世界への安全感、信頼感に亀裂が生じることにより、ビクビク緊張して常に警戒してしまうことによります。その結果、睡眠障害、集中困難となり、ビクビクして驚きやすくなります。
 トラウマとなるような出来事を経験すると、精神的に傷つきやすくなり恐怖感が残るため、自分はおかしくなってしまったのではないか、自分が弱いからだ・・と思ってしまう方もありますが、そうではありません。まずは、自然な反応であることを理解しましょう。
 カウンセリングでは、トラウマを受けた方が自分のトラウマ反応を理解し、症状をマネージメントし、心身のコントロールの感覚を回復していけるよう、お手伝いができればと思っています。