ニュースレター No.54 / 2005年5月

ご 挨 拶

女性ライフサイクル研究所所長 村本邦子

 新しい年度が始まった。研究所を会社にしてから丸3年、どうにか安定した基盤を築き、過労による体のガタつきもちょっと落ち着いてきて、さらに事業を展開するべく張り切っている。私自身は、仕事を通じてどのように社会に貢献していけるかに加え、この職場がスタッフ皆にとって、仕事の苦労も喜びも共有できる良き場であるかどうかが、常に気がかりだ。運営していくのは正直言って大変で、時々、ふと、自分は何故こんな生き方をしているのだろうと思うこともあるが、でも、みなさんから感謝と応援のメッセージを頂いたり、研究所のスタッフたちが、「自分にこの職場があってよかった!」と言ってくれたりすると、「頑張ってきて良かった、また頑張っていこう」と力が沸いてくる。現代の社会で、本当に納得した働き方を見つけることは難しい。それは大きなチャレンジだけど、やってみる価値はあるかなと思っている。

 大学の方の仕事で、2〜3月、ワシントンD.C.とボストンへ行ってきた。なかでも、ケンブリッジ病院のVOV(被害者支援プログラム)を、5年ぶりだろうか、訪ね、あれからさらに着実な発展を遂げてきたことを知って励まされた。昨年、コミュニティ心理学会第7回大会にVOVよりディレクターのメアリー・ハーベイさんを招いてお話を伺って、コミュニティ危機対応チームの発展については聞いていたが、今回は、コミュニティ支援の一環として、アドボケートのセクションが豊かな経験を蓄積していた。たしか、前に訪ねた時にちょうどスタートを切ろうとしていたところだったと思う。もうひとつ、国際人身売買のセクションがスタートしていた。科学技術の進歩とともに地球が小さくなるにつれ、今や、コミュニティ支援を特定の閉ざされた地域に限定して行うことは不可能になりつつあるのだ。また、VOVプログラムの研修体制について聞き、たとえ経済効率は悪くても、次世代の支援者育成に力を注いでいることにあらためて感動した。

 ここ数年、女性ライフサイクル研究所では、若い学生たちのインターンシップや訪問を積極的に受け入れ、臨床心理士の卵たちの実習機関としての機能も果たしている。明るい未来とは決して言えない今の世の中だが、より良い社会をつくってもらうために、若い層に向けて、確かな価値と希望を伝えていきたいものだ。