ニュースレター No.52 / 2004年11月

ご 挨 拶

女性ライフサイクル研究所所長 村本邦子

今、企業のメンタルヘルス向上のための研修プログラム作成・実施に皆で取り組んでいる。研究所を会社にした時から、企業への働きかけにも積極的に取り組んでいこうと方針を立てた。なんだかんだ言っても、企業文化が日本社会に与えている影響は大きい。企業文化が変わらないことには、女性や子どものメンタルヘルスの土壌を変えることは難しいだろう。まずは、自分たちの会社のメンタルヘルスの見直しを始めている。研究所を会社にしてからこの2年半、さながら企業戦士のように働いてきた。土台づくりは3年と計画していたから、この緊急状態から、半年かけて、徐々に無理のない日常的な働き方へとシフトしていかねばならない。そのためには、負担となっている仕事について、別のやり方はないのか、仕事のリストラ(人のリストラではなく)はできないのかなど、丁寧な見直し作業をしていくつもりである。スタッフの休日ハイキングなども試みている。職場が好きで、動機づけが高く、それでいて、息長く頑張れるために、余裕ある働き方を模索していきたい。

 おもしろい話を聞いた。ユダヤ教には週一回、安息日というのがあるが、この日は働いてはならず、「なぜ戦争をするのか」「私たちに何ができるのか」など皆で考え、議論することが求められる。また、客人をもてなすこと、たとえば、食べるものを持たない貧しい人々は最高の客人であり、自宅に招き入れて、前日用意したご馳走をふるまうのだそうだ。エレベータのボタンを押すことでさえ労働と見なされるため、シェラトンなどの大きなホテルにも「安息日用のエレベータ」があって、ボタンを押さずとも各階に停まるようになっているとのこと。この考えはいたく気に入った。働きすぎていると、立ち止まって本質的なことを考えたり、気持ちの中に他者を客人として招き入れたりといったゆとりはなくなってしまう。そうすると、人間としての成長はストップし(機能としての発達はあったとしても)、豊かな仕事をしていく原動力は枯渇してしまうだろう。しかし、習慣になった行動を変えるのは難しい。今の私たちにとってチャレンジだ。それでも、自分たちにできないことを、他者に勧めることなどできないだろう。半年後の変化をお楽しみに!

 さて、この夏、過去にやってきた「地域エデュケーター養成講座」の新バージョンである「キッズ・サポーター養成講座」を実施した。参加者からもスタッフからもおおむね好評で、今後も、スタッフ皆で力を合わせる研究所の主催事業としての講座をやっていくことが決まった。内容の詰めはこれからだが、みなさんから希望を聞かせて頂けるとありがたい。「戦争とトラウマ」を特集した年報も発行される。拙い第一歩ではあるけれど、是非、ご一読を。