ニュースレター No.51 / 2004年8月

改正児童虐待防止法について

 今年4月に、「児童虐待防止法」は改正されました。これは、2000年5月に公布された「児童虐待防止法」を改正したものです。

 「児童虐待防止法」が公布されてから4年、子ども虐待をめぐる日本での状況は、大きく変化しました。それ以前は、子ども虐待と言っても、しつけなのか虐待なのかの線引きが難しく、子どもを助けようとする場合でも動きが取りにくい場面が多々ありましたが、「児童虐待防止法」に、

「児童の体に身外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること」
「児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること」
「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること」
「児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」

・・が児童虐待であると明記されることで、より動きやすくなりました。また、法制化されたことで、広く一般にも「子ども虐待」が認識され、被害にあっている子どもを救うための通報数が増えました。

 しかし、施行されてから幾つかの改正点が指摘され、2004年4月に「児童虐待防止法」は改正されることになり、次のような点が強化されました。

(1)これまでは「虐待を受けた子」を発見した場合の通報に限られていましたが、「虐待を受けたと思われる子」を見つけた場合にも通報することが私たち国民に義務づけられました。

(2)虐待の定義にも変化が見られ、子どもの前での夫婦間暴力など、子どもに著しい心理的外傷を与える行動も虐待に加わりました。

(3)子どもの安全確保のために必要な場合、通告を受けた児童相談所が警察に援助要請を求めることや、要請を受けた警察も積極的に子どもを援助するように規定されました。

(4)これまでは、児童相談所長が親の面会を制限できるのは、虐待する親から強制的に子どもを引き離した場合のみでしたが、親の同意を得て子どもを保護した場合でも同様に面会を制限できることとなりました。

 改正されたものの、まだ不備な点はあります。児童相談所による安全確認義務や一時的な親権停止の宣告、裁判所による親への指導などは、今回の改正からは見送られました。今回の改正によって少し前進したものの、まだまだ被害にあっている子どもを救い出したり、あるいは虐待的な関係の中で苦しんでいる親と子を支援するという点では課題が残されています。

(前村よう子)