ニュースレター No.49 / 2004年2月

「今」を大切に

西 順子

 読んでみたいと思いながら、読めないできた本がいろいろある。その中の一つに『モモ〜時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語』(ミヒャエル・エンデ作、岩波書店)もあった。児童文学、ファンタジー物語には心惹かれるものがあるが、目先のことが優先されるので、なかなか読む機会がないままできた。たまたま、人からこの本の話を聞くことがたび重なり、私も読んでみたいと手にとってみた。この本を読んで、「誰もに与えられたかけがえのない時間」「今を生きること」について、思い巡らした。今を生きるということは、当たり前のように思われがちだが、なかなか難しいことだと思っている。今を生きるとは、私にとっては「大地に根をおろし、根を張る」感じといえるだろうか。

 2003年があっという間に終わり、2004年を迎えた。2003年は、私にとって今までになく、「今」を生きたという実感がもてた年でもある。ここ数年は、一つの目標に向かっていたこともあり、やりたい事は先にお預け・・という感じがどこかあった。もちろん、それはそれで未来のため、自分のためにいろんなことを学び吸収する時期ではあったと思う。昨年は、一つの目標が達成できたということもあり、今やりたいことにエネルギーを傾けることができた。私にとってやりたいこととは、仕事、特にカウンセリングという仕事である。いろんな人と出会って、共に考えていくプロセスというのが好きである。自分に与えられたかけがいのない仕事、そしてそのための「時間」、それが可能となる「場」に、感謝している。

 さて、2004年はどんな年になるだろうか。月並みだが、2004年も、一日、一日を大切にして生きていけたらいいなと思う。つい時間に追われがちだが、「今、ここで」の瞬間、瞬間を大事にしていきたい。私自身は、一つのことにじっくり時間をかけてしまうスロータイプな人間だが、でも、人との関わりは、その瞬間が大事であり、その瞬間を逃せば、取り戻せないこともあると思うようになった。「今、ここで」の一瞬を大事にできるように、自分自身の感覚、感情への気づきを大事にしたい。そのためにも、心のゆとり、余裕をいつももっておきたい。また、研究所という「場」が、いろんな意味でさまざまなものを生み出す「創造の場」となっていけばいいなと思っているが、来談される方が、自分の過去、現在、未来に何かを発見し、何かを生み出していく「器」となれるよう、この「場」を整え、守り、育てていきたいと思う。そのためにも、スタッフ皆でチームワークよく、共に成長しながら、私たちがまずこの「場」を楽しんでいければいいなと思う。

 新しい年を迎え、改めて研究所を支えて下さっている皆様に感謝いたします。そして、本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。