ニュースレター No.45 / 2003年2月

義母から学んだこと

前村よう子

 少子高齢化という言葉が、日本の枕詞になってから幾久しいですね。少子に関して言えば、毎年「合計特殊出生率」が低下した事が新聞紙上を騒がせ問題になっています。その度に、「なぜ今の女性たちは子どもを産まないのだ」「子どもを産ませるには、どうすればいいのか」が話題の中心になります。もちろん、子どもを産み育てる世代が、安心して出産・育児に携われるようなシステムが社会に整うのは大切な事ですが、もう一方の視点からも考えてみたいと私は思うのです。
 もう一方、それは高齢者の視点です。高齢化という点では、日本は75歳以上の後期高齢者と呼ばれる世代が急増しており、他の先進国に例を見ないほどの超高齢化社会も、ほぼ間違いなく20年後には展開されると予想されています。ちょっとやそっとのことでは避けられない超高齢化時代を目の前にして、私たちにできることの一つは、年齢を重ねてからも如何に「イキイキ」生きるのかという事だと私は思うのです。
 20年後には、私自身も高齢者の仲間入りをしています。できれば健康でありたい、今と変わらぬ位には頭を使っていたい、そして誰かにあてにされる人でありたい、それを私は今、切に願っています。そして、その願いを現実にするには、私の一番近くに居る高齢者である夫の母、彼女の生き方に学べる部分がかなりあると思っています。
 彼女は大正時代の生まれで、既に後期高齢者に属しています。夫(つまり我がパートナーの父)に先立たれてからの彼女は、私の目から見ても「イキイキ」しています。さすがに現状では就職先はありませんが、彼女自身が働いて納めてきた厚生年金のお陰で、贅沢さえしなければ一人での生活には困らず、行きたいところに行き、趣味を楽しむ事もできます。もちろん健康である事も大切です。この点も、仕事が立て込めば食生活が非常に不規則になりがちな私と違い、彼女は、規則正しく、しかも食べ過ぎぬように、偏らぬように節制しています。
 そんな彼女の様々な生活の中で、私が一番学べると思っているのは、彼女の持つコミュニケーションスキルです。彼女は、毎晩通うお風呂屋さんで隣に座った方に気さくに声をかけます。それをきっかけに親しくなり、人間関係を広げているようです。「今日も逢えましたね」その一言が嬉しいそうです。「誰かにあてにされている」と実感することが、より彼女をイキイキさせているようなのです。
 各種の講演や講座を通じて、私たちが提供しているコミュニケーションスキル、これによって一人でも多くの方が、彼女のように「イキイキ」と生きるきっかけを得てくださるなら、これ以上の喜びはありません。もちろん、私自身もこれまでと同様、「イキイキ」と前向きに生き、仕事に取り組む中で、もっとたくさんのスキルを開発し実践していきたいと考えています。私たちの仕事が、少子高齢化をも恐れない社会づくりの一助になるよう、これからも取り組み続けたいと思うのです。