スタッフエッセイ 2013年10月

学びの秋

窪田容子

この秋、いくつかの研修会に参加し、学びの豊かな時間を過ごすことができた。

9月の上旬には、東京で5日間開催された、トラウマ予防と外傷的出来事の危機介入法であるBasic-Phモデルのマスタートレーナーコースを受けた。また、9月の中旬には兵庫で6日間開催された、身体と神経系の統合をベースにしたトラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンスのトレーニングを受けた。10月にも、単発の研修にも参加した。いずれも、多くの学びがあり、他の臨床家との交流もでき、有意義な時間であった。また研修会で知り合った人に、トラウマに関する別の技法のセッションを受けさせてもらう機会も得た。

心理療法に関わる研修会では、特定の心理療法の技法の習得をするための学びを深めると同時に、自分自身と向き合うことが少なからずある。その技法を用いて、セラピスト役とクライエント役になってロールプレイをしたり、グループワークをしたり、実際にセッションを受けたりすることがあるため、その体験を通しても自分自身に目が向いていく。

Basic-Phモデルのコースは、開発者のムーリー・ラハド博士らによる、対人援助職者に対して危機時に必要な知識やスキル、メソッド等をトレーニングできる資格を得る集中トレーニングコースであった。Basic-Phは、コーピングの資源の頭文字であり、B−Belief(信念)、A− Affect(感情)、 S−Social(社会なもの・人とのつながり)、I−Imagination(想像力)、 C−Cognition(認知)、P― Physical(身体的なもの)を意味する。このモデルは、危機やストレス時のコーピング(対処)とレジリエンス(回復力)を多重に捉え直して活用するもので、アセスメント、支援、回復のどの段階においても活用できるものである。

Basic-Phでの様々なワークを通して、私自身は危機時には「信念」のチャンネルが優位となり、ストレス時には「社会的なもの、人とのつながり」のチャンネルを用い、また別の時には「感情」のチャンネルを用いる傾向があることに気づいた。これは、私には意外な発見でもあった。もっと「認知」のチャンネルを用いていると思っていたからだ。「認知」のチャンネルは普段の生活では、おそらくしばしば用いているものだが、危機時やストレス時には別のチャンネルが優位に働いている。また、自分自身のチャンネルの幅を広げるとすれば、「想像力」と「身体的なもの」のチャンネルということになるが、これには納得がいく。ここ数年、もっとつながりたいと思ってきたことと一致するからだ。ただ、これらのチャンネルとつながるためには、もう少し時間のゆとりを作り出す必要がある。焦らず、ゆっくりと、少しずつ、つながっていけたらと思っている。

どの研修も、なかなかハードなものであったが、自分自身のレジリエンスに気づくと共に、弱さや傷つきやすさにも向き合い、それらを抱えながらも努力してきたことを思い、自分に優しい気持ちにもなれた。研修会から帰った後には、一緒に学んだ人たちから「一緒に過ごせて、安心できた」「いつも心地よい気持ちにしてもらえてありがとう」などのメールがいくつか届いて、あたたかい気持ちになった。私自身、人として弱さや傷つきやすさを抱えながら、人のあたたかさに支えられて今がある。そのことに感謝しながら、学んだことを糧に、今後も丁寧に、人にそして自分自身に向き合っていきたいと思う。

そして、この秋、さらに学びを深めていきたいと思っている。

(2013年10月)