スタッフエッセイ 2013年9月

誕生日パーティ

安田裕子

遠方に住んでいる姪が、誕生日のお祝いをしに、遊びにやって来た。昨年の秋ぐらいからのプランで、私としてはずっと楽しみしてきたことである。ここのところ、おしゃまさんになってきた姪は、保育園で覚えた「パーティ」なるものが好きであるようだと、義妹からの報告を受け、食のおもてなしにはどんなご馳走がよいだろうか?とあれこれと考える。姪は、赤ちゃんの頃から食べることが大好きで、離乳食を始めた頃から、ピーマンも人参もブロッコリーも、子どもが嫌がりそうな野菜類でもほとんど好き嫌いなく、美味しそうに食べていた。言葉が少しずつ増えてきた頃に、我が家の飼犬・元気が、好物の生の人参をもらってはムシャムシャ食べている姿をみて、「げんちゃん、にんじん、たべてるねぇ〜」と、私も人参が食べたいのよと、声色と表情で、アピールしてきた姪っ子。1歳の誕生日会の時、ケーキでお祝いしようとお皿やフォークの準備をしている時間を待ちかねて、私は早く目の前のケーキが食べたいのよ!と言わんばかりにワーンと泣き出した姪っ子も、もう3歳になった。

色とりどりの折り紙を輪にしてつなげ、壁と天井を装飾し、エビフライにトンカツに鳥の唐揚げにと、子どもの大好きな揚げ物をずらりと並べる。姪は、なかでもトンカツがお気に入りのよう。トンカツは、ひそかに「勝つ」の縁起担ぎも入れ込んだセレクション。そして、かぼちゃの好きな私は、姪にぜひとびきり美味しいスープをと、朝からコトコトかぼちゃでスープをこしらえる。サラダには、じゃがいもとりんごがベースの、我が家でロングランの「いもサラダ」。サラダをマヨネーズであえているそばにやってきて、私も混ぜたいと申し出る姪に、手伝いをしてもらいながら、好きな食べ物はなぁに?と尋ねると、「じゃがいもと、りんごと、きゅうりと、にんじん! 卵も好きだよ〜」と、ずばり、サラダに入っている食材をずらりとあげてくれる。実際、なんでも美味しそうに食べてくれた姪だが、とりわけ、「おなかいっぱい、ごちそうさま〜」とご馳走様の挨拶をした後でも、かぼちゃのスープをもっと飲みたいのだと食卓に戻ってきては、美味しそうに口にする。好きなかぼちゃで、真っ黄色のトロリとした濃厚なスープを、腕によりをかけて作った私としては、大満足。

幼い頃、誕生会にはきまって、ご馳走を作って祝ってくれた両親。小学生にもなれば、毎年、友達を呼んでいいよと、学校が終わってから盛大な誕生会を開いてくれた。ケーキもいつも手作りで、当時仲良しだった友達のお母さんから、「ゆうちゃんは、いつもお母さんがケーキを作ってくれて、いいね」と言われた時の、鼻高々な感覚をよく覚えている。ただ一方で、そのように言われて、「そうなんだぁ、いいことなんだぁ・・・」と改めて思ったのも、確かな記憶。ケーキを作ってもらえることはもちろん嬉しいことなのだが、実のところ、買ったケーキも食べてみたいなぁと思っていた私。今となれば、親の心子知らず。もっとも、ケーキ作りでは、焼いたスポンジを整える作業をそばで眺めながら、切ってできるスポンジの端きれを食べたり、泡立てた生クリームをペロリとなめたり(笑)、デコレーション用の果物の端きれをチョコッともらったりするのが、満悦の、とても楽しい時間だった。プロが作る立派なできあいのものもいいけれど、なにかをこしらえていくプロセスを楽しむ経験を、幼い頃からたくさんさせてもらった。

姪の誕生日会を、長い間心待ちにし、お祝いのプランをあれこれ考える時間はとても楽しく、しかし慌ただしい日常の中で、思い描いていたように実現できないこともあった。そもそも最初のところで、パーティの設営が済んだ状態でのお出迎え、ということには到底ならず。しかし、楽しくはしゃぎながら、また、大粒の大阪名物のたこ焼きにチャレンジしたりしながら、パーティの設営を眺め、料理作りを一緒に楽しんでくれた姪。みんなでワイワイと食事をしている時には、天井にくっつけた装飾物がハラリと落ちてきたり、なんてこともあったが、そうした色んな意味でのサプライズを含む一コマ一コマが、姪にとってどのような記憶になっていくのだろうかと、これまた楽しみに思っているところである。

(2013年9月)