スタッフエッセイ 2013年8月

タコ焼きとお好み焼き

下地久美子

関西人のソウルフードと言えば、タコ焼きとお好み焼きだ。子どもの頃、土曜日のお昼は、だいたいタコ焼きお好み焼きと焼きそばがローテーションで出てきて、それを食べながら吉本新喜劇を見るというのが、正しい土曜日の過ごし方?!だと思っていた。関西地域の家庭の90%にタコ焼き器があるというのは有名な話だが、もちろんうちにも2台のタコ焼き器がある。1台は実家から持ってきたもので、電熱器の上に鉄のタコ焼きなべを乗せて焼くもの、もう1台は電気グリルになっているもの。電気グリルの方は火力が気に入らず、もっぱら使うのは、実家から持ってきた何十年も使い込んでいるタコ焼きなべだ。

関西の子どもたちは、一度は「将来タコ焼き屋さんになろう」と思うのではないだろうか? タコ焼きをひっくり返すのは、子どもの仕事で、「○○ちゃん、タコ焼きひっくり返すのん上手いな」というのはかなり嬉しい褒め言葉なのだ。

タコ焼きに関しては、今でも食べるよりもひっくり返すのが好きかもしれない。さらに、タコ焼きに何を入れるかというのも、それぞれの家のオリジナルがあって面白い。私は基本的には、大きく切ったタコと紅ショウガと天かすのみのシンプルなタイプが好みで、たまにチーズを入れる。しかし家庭によっては、コンニャクやキャベツや竹輪やキムチを入れるところもあって、何家族かが集まってタコ焼きパーティをすると、変ったタコ焼きが楽しめるのがいい。うちは途中からお出汁で食べる明石焼き風に切り替えるが、ポン酢で食べる人とかいろんなパターンがある。

お好み焼きに関しては、昔から研究に研究を重ね、今や究極の生地にたどり着いている。女性ライフサイクル研究所の近所には、有名なお好み焼き屋さんがたくさんあるが、「千草」や「双月」に負けてへんなと思っている。

まず小麦粉と山芋と秘伝のだしで生地をつくって1人分ずつ小分けし、そこにキャベツと卵と紅ショウガ、桜エビ、天かすを入れてフワッと混ぜて、弱めの火でゆっくり焼くのがポイントだ。そうすると外はカリッと中はふんわりした理想的なお好み焼きができあがる。具は、明太子やモチを入れるのは邪道と思っていて、「お好み焼きといえば豚玉でしょ」と、豚玉一筋に決めている。

息子たちの友だちに「おばちゃんのお好み焼き、めちゃ美味しいな」と言われと、大阪のおばちゃんの認定証を得たようで、けっこう嬉しく、さらなる味を求めて頑張ろうって思ったりする。

ところで、これまでに食べたお好み焼きで、一番印象に残っているお好み焼きと言えば、広島出身の学生時代の彼氏に連れて行ってもらった広島のお好み焼きだ。というかキャベツたっぷりの広島焼き?なんか鳥肌が立つぐらい美味しかった。って、大阪のお好み焼きとちゃうやん(汗)。青春の1ページだから、記憶に刻まれているのかな?

食べ物の美味しさって、どこで誰と食べたかというのも大きいのかも。タコ焼きやお好み焼きは、大勢でワイワイ食べるとだんぜん美味しい。だけど、タコ焼きパーティはするけど、お好み焼きパーティはあんまりないっていうのはどうしてだろう?謎である。

(2013年8月)