スタッフエッセイ 2013年8月

「死んだらどうなるの?」

窪田容子

数ヶ月前のこと、 10歳の末っ子が、「死んだらどうなるかと考えたら不安になる」と言って、わーわー泣きだした。そのことを考えると、足ががくがくすると言う。

私自身は、我が子ほどの悩みにはならなかったが、同じぐらいの年頃のとき、死んだらどうなるのかと考えを巡らせたことがあった。当時の私は、「蚊やハエをパチンと潰したら、死んでおしまい。蚊やハエに死後の世界があるとは思えない。蚊もハエも、鶏も豚も、そして人間も、命の価値は同じであるはず。人間だけに死後の世界があったり、魂が残ったりするなんてことは、人間のおごり。肉体が死んだらそれでおしまい。」・・・そんな風に考えた。身も蓋もない考え方のようだが、当時の私はそう考えることで、すっきり整理がついた。

「お星様になるのよ」という言葉を信じるほど幼くはない子どもに、「死んだらどうなるの?」と聞かれた時に、大人はいったいどう答えたらいいのだろう。

「死ぬ時に、もう十分に人生を生き切った、何も思い残すことはないと思える人もいるんだよ。だから、寿命がくるまでに、そういう人生になるように、今とこれからを大切に生きたらいいんじゃない」と伝えてみた。

・・・だからと言って、そんな簡単に気持ちがおさまるわけではない。

お母さんは、あなたと同じくらいの年のときに、こんな風に考えたよと、上記のことを伝えた。そしたら、「もう蚊を殺さない」と言う。「だけどお肉は食べるでしょう。他の生き物の命を戴いて、人は生きてるんだよ」と伝えてみた。ちょっと話がずれたかな・・・

別の時には、「おばあちゃんは、おばあちゃんのお父さんが死んでから方のが、生きている時より近くにいるように感じるって言ってたよ。生きてる人の心の中では、生きてるのかもしれないね」とも言ってみた。

・・・だからと言って、すっきり気持ちがおさまるわけではない。

私の姉が、ちょうど同じ年齢のときに、死んだらどうなるのかと悩んだという話を聞いていたので、姉に電話して、直接子どもの話を聞いてもらった。

友達ともその話をしたようだ。友達は、「自分よりお母さんが死ぬ方が怖いわ。だから、お母さんより早く死にたいねん。でも、それは親不幸からあかんやろ・・・」と言ってたらしい。

『西の魔女が死んだ』という本がいいよと教えてもらって、子どもに渡してみた。子どもは本を読んで、「自分が思っていたことと、だいたい同じことが書いてあった」と言う。

・・・だからといって、すっきり気持ちがおさまったわけでもないようだ。

 「死んだら生き返れないから、死んだらどうなるか知ってる人は、この世に誰もいないんだよ。だから、みんな死んだらどうなるのかって、いろんなことを考えてるんだよ。また、他の人にも話してみたらいいよ」と伝えておいた。

この悩みはまだ時々出てくるようだが、足ががくがくすることはなくなったらしい。いろいろな人に話をしてみて、他のみんなもそんなことを考えたり、悩んだりしてきたと知って、いくらかの安心感は得られたのかなと思う。

子どもの「死んだらどうなるの?」との問いに、正しい答えはない。いろいろな人の考えを聞いたり、本を読んだりしながら、子ども自身が、自分で考え、自分なりのおさまりどころを見つけていくのだろう。

(2013年8月)