スタッフエッセイ 2013年4月

春の肌ケア

桑田道子

春は、皮膚科が一番忙しくなると聞く。新生活を迎えて、慣れない環境のストレスや季節のかわりめで肌荒れを起こしやすくなったりするようだ。

日本の冬は寒く湿潤であるため、新陳代謝も控えめに過ごすが、暖かい春へとかわっていくなか、体の新陳代謝も活発になり、ホルモン分泌、皮脂や汗の分泌も盛んになる。その変化のときは、皮膚も含めて身体が敏感に、一種の緊張状態となっているため、外部刺激に反応しやすく、春になると肌荒れ(かぶれや吹き出もの、カサカサヒリヒリしたり)のトラブルが発生しやすい。冬の間、暖房の使い過ぎなどから乾燥させてしまって肌力を弱めてしまっていたり、さらには肌の大敵「紫外線」もどんどん強くなってくる。花粉症に悩まされる人も年々増加しているが、植物が一気に芽吹き、花咲き、ぐんぐんと成長するこの時期は、植物自体の生命力もみなぎり、そのぶん刺激が強くなるという。

肌にとって良い状態とは、しっかり保湿され、潤い、滑らかな状態である(こうなれば、もちろん見た目もツルンとトラブルなしの状態)。肌のための乾燥対策、保湿・・・とはよく耳にすることだが、なぜそれが良いのか、どう役立つのか。特に今のところ薬品は使いたくない志向があるので、自分にとって適した方法を知りたいためにも理論を知りたいと皮膚科医、エステティシャン、美容部員さんに尋ね、インターネットや美容雑誌で知識を整理してみた。

表面に出ている皮膚を目にするため、仮面のように、肌もつい1枚ものの状態を想像しがちだが、実際は、表皮は幾層(下から、基底層・有棘層・顆粒層・角質層)にもわかれている。

表皮の下にある真皮層から水分や栄養を補給しながら、基底層で細胞をつくり、その細胞は分裂を繰り返しながら、どんどん上部に移動し、最表面の角質となった状態で一定期間留まり、最後はアカとなって剥がれ落ちる。この分裂を繰り返していく様子をターンオーバーと呼び、肌本来のペースでターンオーバーできていると、状態良い角質層をつくれていることになる。角質層は、角質細胞が約20層ほど重なりできているが、状態良いとは、よくキレイに積み上げられたレンガにたとえて説明される。レンガとレンガの間をセメントで固定するように、角質と角質の間が、NMF(Natural Moisturizing Factor成分、天然保湿要因と訳せるだろうか)といわれるものや細胞間脂質で満たされていて、レンガ(角質細胞)が整然と並んだ状態は表面が滑らかだが、所々でレンガがめくれ上がり、レンガをつなぎあわせる細胞間脂質などが不足した状態になると、角質層の層構造が崩れ、肌はざらざら・カサカサと感じることになる。

角質層の層構造が崩れると、そこに隙間が出来てしまうので、バリア機能は低下し、大きく二つのトラブルを抱えてしまう。ひとつは、隙間から水分が蒸発し、肌がますます乾燥してしまうこと。乾燥はシワの大要因でもある。もうひとつは、隙間から刺激物や異物を侵入しやすくしてしまうこと。異物等の侵入をキャッチすると身体は免疫機能が作動し、免疫細胞は身体を守るために異物を攻撃するため、これが肌の炎症(かぶれなども)となって現れる。そして層構造が崩れてしまった角質層のトラブルを解消しようと、基底層が角質層を修復するため急ピッチ(肌本来のペースではないターンオーバーの周期)で新しい細胞をつくり、無理矢理、かたちも機能も不完全なレンガ(角質細胞)を角質層に並べてしまうので、ガタガタの層をつくってしまい、さらに層構造を乱すという悪循環に陥ってしまう。

つまり、肌が滑らかに感じたり、乾燥してカサカサして感じたりするのは、この角質層の状態を表していることになるが、前述したとおり、 特に春先にはターンオーバーと角質層の乱れを起こしやすい状況だというわけだ。それを防ぐためには、角質層の水分を十分に保ち、バリア機能を正常に保つこと。

スキンケア製品は数えきれないほど市場に存在し、洗顔もクレンジング、洗顔フォーム、せっけん…と何を使うか、洗顔後にどんなケア(化粧水、ふき取り化粧水、ブースター、乳液、クリーム…と多種多様)をするかはそれぞれこだわりを持ってらっしゃる方が多いだろう。組み合わせによってはマイナスに働いてしまうこともあるので、すべての人にぴったりな方法というのはないかもしれないが、私がお薦めの方法をひとつ、ふたつ…。

●電子レンジでチン!〜温タオル
濡らしたタオルをお皿に乗せて、約1分レンジでチン。→タオルを軽く広げて熱を逃がしてから(やけどに注意)、顔にのせ、スチーム。
洗顔前なら、毛穴が広がって汚れが落ちやすく、洗顔後なら、毛穴を広げてその後のケアが、よく浸透する。決まった手順の中で温タオルをしないといけない、というよりは、とっても気持ちいいので、お好みで好きな時にやるのがベストだろう。番外編では、温タオルを首の後ろに30秒おくだけで、じわーっと血行もよくなり、目や肩の疲れがやわらぐ。

●化粧水
化粧水はコットンを使うか、てのひらを使うか…諸説あるが、私はその日の肌にあわせて両方。ふき取り化粧水を使うときはコットンで、保湿目的の時は、500円玉分くらいを手のひらにのせ、両手を軽く合わせてから、両手で顔を包み込むような感じでしみこませる。これ以上、肌に水分が入りません!というぐらい(だいたい3−4回、間をおかず全部で30秒くらいの時間で)まで行う。

●リンパマッサージ
あごから耳下、耳下から首の根元、左鎖骨の下あたりをグッグッとさすり、溜まってしまう老廃物をリンパに沿って流していく。

お金もかからず、とっても手軽な方法で、水分バランスが整うと、キメも整い、肌の調子が良くなる。もちろん、睡眠不足、外食が続く、心を悩ます事象が次々起こる…などダイレクトに肌に悪影響を与えてしまうマイナス要因は多くあるが、自宅で簡単にできる、自分の好む、気持ちをホッとさせたり心をほぐすような方法はたくさん見つけておいて、取り入れながら、季節のかわりめを過ごし、初夏の紫外線ダメージに備えようと思う。

(2013年4月)