スタッフエッセイ 2013年4月

節目

安田裕子

新しい年度が始まった。年末年始とはまた違った意味合いで、いくらかピリッと、そしてシャキッとした気持ちになる。万人に共通のクロックタイム(時計の時間)が刻まれているなかで、3月31日をもってタームが切り替わるわけだが、年度末‐年度はじめにかけて、主観的には、一分一秒という均質な時間が流れているようには思えなかった、そんなこの季節。

世の中的には、年度で区切られることがけっこう多く、その制約のなかで動こうとするため、必然的に、慌ただしい時間を過ごすことになるのだろう。体調を大きく崩すことがあまりない私は、ちょっと厳しいかも…と頭のどこかで思いながらも、えいやあっとスケジュールを組んでしまう、ということもある。とりわけ昨年度末は、2月の末から一月未満の間に、北は秋田から南は熊本、海を渡ればデンマーク、とあちらこちらに移動しての仕事が多かった。さまざまな気候や風土や国民性などに触れる機会は当然多くなり、また、新旧の出会いや今後の活動にむすびつくネットワークの広がりがあったり。島根への出張での出雲大社効果もあったのか、そこここで結ばれる縁に元気をいただき、そんな関係性や場に身を置くことができていることを有り難く思いながら、グワンと勢いをもっていそがしく駆け抜けた。

そうした仕事関連の動きとは別に、自身の健康に目を向ける機会もつくった。結構丈夫な方なので、自分の身体を過信している面がある私だが、昨年度秋にあった所属の健康診断を受けそびれ、まあ一年ぐらいはいっかぁ…と思いながらも、健康診断は義務でもあるしなぁと、どこかで気にはなっていた。ふと思い立って、保健センターに自己申告すると、案の定、受診してくださいねとの指導が入る。ああやっぱりね…。ならもういっそこの機会にと、外部の医療機関で人間ドックに初トライ。いそがしさのなかで、また、根拠のない過信もあって、ついつい健康管理を怠りがちであったが、行った病院で、中学時代のクラスメイトに担当医として再会!なんていう、びっくり&ドッキリなこともあって、健康への意識化が進みもした。

発達心理学では、「環境移行」という言葉がある。入学、卒業、就職、結婚、退職など、多くの人が経験する節目となるライフイベントがあったり、災害や事故など、突然に降りかかる災難や困難などもあるが、こうした人生における様々な出来事やそれに伴う移動によって、環境が変わることをさす。

私はこの4月、物理的な環境の移行があったわけではない。しかし、年度を前後するなかで、さまざまに豊かな新旧の出会いを経験し、世界観がいくぶん組み替わったような不思議な感覚をもっており、心理的には環境を移行した感がある。この年度は私にとって節目の一年にもなりそう、という予感のような、自らへの突き付けのようなものもある。これからの一年間を、来年度の今頃どんなふうに振りかえることができているだろうか、なんてことも思いながら。たくさんの有り難く嬉しい出会いと縁のなかで、気づいたり戒めたり展望をもったりしたことを、自分らしく少しずつ実に結んでいけるといいなぁと、思っているところである。

(2013年4月)