スタッフエッセイ 2013年2月

3学期

前村よう子

前期・後期制の学校も増えているが、私の非常勤講師先は、なぜかいつも3学期制である。1月から3月までの3学期というのは、短いけれど忙しく、その上で様々に心動くことの多い日々である。

まず、1月にはセンター試験や私立大学の一般入試がある。様々な種類の推薦入試で12月までに進路を決めた生徒以外は、これまでの学びと努力の全てを発揮する日々を迎えることとなる。1年生、2年生にとっては、各学年で学ぶ内容の終盤、追い込み時期に入る。

本年度、私は3年生以外を担当している。中でも2年生の世界史では、第一次世界大戦、ヴェルサイユ体制、ワシントン体制、世界恐慌、第二次世界大戦というように、現代史につながる重要な部分を伝えることとなる。本当なら大戦後の冷戦や冷戦終結とその後の世界状況までを網羅できれば良いのだが、2単位(週2回)の授業で丁寧にと思うと限界がある。それでも「なぜ、世界は悲惨な一次大戦の経験を活かすことなく、二次大戦へと駒を進めてしまったのか」「ファシズムって何だったのだろう」「ヴァイマル憲法(当時、世界で一番民主的な憲法)の下で、なぜナチスが生まれたのか」等については、直接期末テストの点に結びつかなくても、生徒に伝えたいと毎年頑張っている。

2月。3年生は相変わらず入試の日々。そして私たちは次年度の新入生を迎えるべく、高校入試を実施する。少し前まで湊かなえの脚本による『高校入試』というドラマがあったが、卒業生を送る立場と新入生を迎える為の選考をする立場が同時に訪れる2月は、一年で一番短い月であるにも関わらず、一番忙しく過酷な月でもある。それと平行して、世界史は終盤の詰め。日々、頭も心もめまぐるしく動く。

そして3月。学年末試験実施、成績処理の日々。高校は決まった単位を取得しなければ次学年に進学できない。たった1教科を落としても、もう一度、下の学年と共に全ての授業を受けなければならない。救済措置の補講や追試を実施する学校もあれば、実施することなく原級留置(いわゆる留年)とする学校もある。原級留置であっても、後輩たちと良い関係を築き次年度の卒業を目指す生徒にも出会ってきたが、それはごくわずかで、多くの生徒たちは、原級留置が決まった段階で退学や転学を選ぶ。そんなことにならないように、できる限り同じ学年の子たちと一緒に進学できるようにと、私は2月末から個別補習を実施している。

今年もそんな慌ただしい日々の連続で、このエッセイを書いているのはちょうど箱根駅伝の上り坂にさしかかったような状況だ。あと少し、生徒と共に、この坂をしっかり登り切ろうと思うばかりである。

(2013年2月)