スタッフエッセイ 2012年10月

ドラマの楽しみ方

下地久美子

テレビドラマの視聴率がふるわないと言われ、世間の人々のドラマ離れというのが進んでいるという。かつては、ドラマ評論家か?と思うほどドラマを観ていた私も、1クールに1本もお気に入りのドラマがないというときもあるから、深刻である。昔は、他にあまり娯楽がなかったせいもあるが、みんなもっとドラマを観ていた。友だちとの会話でも、「今、何のドラマ観てる?」というのがよく話題になったものだが、そういう話は全くしなくなったような気がする。

私と同世代の人は、よく知っていると思うが、小学生時代のドラマといえば、「ケンちゃんシリーズ」。これを観ながら、お店屋さんの子どもになりたいと思っていた。ケーキ屋さんの子どもだったら、好きなだけケーキが食べられるのに〜と、単純に羨ましかった。

それから山口百恵の赤いシリーズも、これでもかというほど事件や悲劇が重なるのだが、薄倖のヒロインの運命に手に汗握る経験をした人も多いのではないだろうか。

その後は、時代が飛んで、浅野温子と浅野ゆう子のW浅野によるトレンディドラマや「101回目のプロポーズ」、今井美紀の「想い出に変るまで」がヒットして、「東京ラブストーリー」では、鈴木保奈美が演じた赤名リカの自由奔放さにハマり、「ロングバケーション」のキムタクと山口智子のおしゃれな恋愛に憧れたものだ。

2000年に放送された松嶋奈々子主演の「やまとなでしこ」では、お金持ちの男性と結婚するのが幸せと考える主人公が、最終的には貧乏で冴えない男性との真実の愛に目覚めるというベタなストーリであったが、「愛よりお金」という桜子の本音トークが、とっても面白かった。

2000年以降、その時々で良かったドラマもあったが、あんまり記憶に残っておらず、印象深いのは、DVや性同一性障害という難しいテーマを扱った長澤まさみの「ラスト・フレンズ」。関ジャニの錦戸亮のDV男ぶりがリアルで怖かった。

ここ最近では、坂元裕二脚本の「Mother」と「それでも、生きてゆく」は、涙なしには観れないドラマだった。「Mother」は、虐待と母娘がテーマで、子役の芦田真菜ちゃんを一躍有名にした。

「それでも、生きてゆく」は、殺人事件の加害者家族と被害者家族を扱ったドラマであったが、なんせ役者がみんなもの凄く上手くて、見入ってしまった。

そして、この1年で最もよかったドラマを上げろと言われたら、NHK連続テレビ小説「カーネーション」。デザイナーのコシノ三姉妹の母、小篠綾子をモデルに小野真知子が演じたが、観れない時にはDVDに録画してまで観ていた。働く女性への応援歌ともいえるし、昭和の男尊女卑がきつかった時代にもかかわらず、パワフルで型破りな糸子の生き方にいたく共感した。特に綾野剛演じる周防さんとの道ならぬ恋のくだりは、ドキドキものだった。その後の「梅ちゃん先生」は、視聴率はよかったようだが、父権的な感じが馴染めなかったし、10月スタートの「純と愛」は、「家政婦のミタ」の脚本の遊川和彦が手がけているというので注目されているが、純役の夏菜のテンションの高さと愛役の風間俊介の得体の知れなさが、どうも・・・。

それにしても、小泉今日子と中井喜一の「最後から二番目の恋」以来、続けて観ているドラマがない。ドラマ好きの私としては、非常につまらない状況である。秋のクールこそ、毎週続きが観たくなるドラマを見つけたいものだ。「誰も知らない」の是枝裕和監督が初めてドラマをやるというので期待した「ゴーイング・マイホーム」は、途中で寝てしまった。

他はどうだろう?「PRICELESS」のキムタクの時代も終わったような気もするし・・・。生田斗真の「遅咲きのヒマワリ」は、ジェネレーションギャップで入り込めそうにもないかな。

こう書いていくと、ドラマを全然観なくなったと思っていたが、けっこうチェックしてる。でも、自分自身が年を取ったせいか、40代ぐらいが主人公のドラマじゃないと、感情移入できないのが難点。やっぱり主人公の生き方に自分を重ねながら、「私だったらこういう選択をするなぁ〜」などと思うのがドラマの楽しみのひとつなので、大人のドラマがもっと増えるといいな。

いいドラマに出会うと日々の暮らしがちょっと豊かになる。家に居ながらにして、小さな楽しみが手軽に味わえるってありがたい。そういうささやかな幸せって、実はけっこう大切なのでは?と思う秋の夜長です・・・。

(2012年10月)