スタッフエッセイ 2012年10月

やればできる!

おだゆうこ

♪ズンズン チャッチャ ズンズン チャッチャ ズンズン チャッチャ ズン
    ホッ うんどうかいが はじまるよ ヤァ!!♪

年長さんの太鼓とかけ声ではじまった保育園の運動会。
早いもので長女にとっては保育園最後の運動会となり、年長さんだけがチャレンジできるあこがれの「たけのぼり」と「跳び箱」と「リレー」をやるのが伝統だ。

当日を迎えるまでも、さまざまなドラマがあった。「楽しみな気持ち。やってみたい!出来るようになりたい!やっぱり怖い!嫌や!出来ない!でもやっぱりやりたい!」できるようになったと思ったら急にスランプに陥ったり、他の園の年長さんと対決して負けて、悔しくて悔しくてみんなで泣いて、作戦を考えて、気持ちを入れ直して取り組んだり、年長さんてこんなに葛藤を抱えて乗り越えられるんだと、衝撃を受けた。「あきらめずにやればできるんだ・・・」長女を目の当たりに教えられた気がする。

私自身、運動は苦手で運動会は嫌いだったし、跳び箱や登り棒、リレーは大の苦手で大大大嫌いだった。長女は間違いなく私の娘でハイハイもしなかったし、腕力、脚力共に弱いし、体の使い方が上手な方ではない。特性や個人差もあるし、それなりに頑張って取り組めば、無理に頑張ることはないと思っていた。どこかで跳び箱や登り棒が出来ないからって、なんの問題もないくらいに開き直っていたのだ(自分もできないから)。でもどうやら娘は運動神経は私に、やる気は父親に似たようで、跳び箱も跳べるようになりたいし、リレーでメロン組さんに負けたのがほんとに悔しかった用で、その日から「毎晩練習する」といいだして、家の廊下で走り込みを始めたり、「跳び箱になって!」と言ってきたりした。初めて跳び箱を練習した時にはそりゃー驚きだった。<トコトコ走ってきて。完全に止まってから、手をついて、右足左足と順番に股ごす>というのが娘の飛び方だった・・・『うーんこりゃ無理だろう』と正直、はっきり思ったことを覚えている。

しかしそこから、彼女は毎晩頑張った。その姿に動かされ、私もどうやったらできる用になるんだろうと、自分の時には考えも工夫もしなかった練習の仕方やかけ声を夫と考案した。しばらくは、飛ばずにタイミングの練習、背中にのってから飛び降りる練習をやって、本人が飛びたい気持ちが高まるまで実際には飛ばせなかった。

そうするうちに低い跳び箱、一段くらいは飛べるようになった。その間、周りの子らが三段四段飛べるようになり、自分も「三段とべるようになりたい」という気持ちと、「高くなると怖い!」という気持ちが出てきて、怖い気持ちと闘わねばならない時期がやってきた。「怖い怖い」といいながら飛び跳ね、心の準備が出来るまで、葛藤する。『よしいくぞ』という気持ちになると「行きます!」といって飛ぶ。心の準備がままならないまま見切り発車をすると、転けて、さらに怖くなる・・・そんなことをしながらもなんと三段までとべるようになった。三段をとべるようになった日には、そりゃ〜保育園の先生も私も本人も大喜びした。

本人なりに自信をつけて、友達に飛び方を教えたりもするようになっていたある日のこと、「かなしいことがあったん・・・なんかしらんけど二段とべへんくなった」と・・・スランプがやってきた。運動会一週間前くらいのことだ。『内心えええっ〜二段が?!なぜ??』と思ったが、「へぇ〜そうなん?どうしたんやろな。また晩に一緒に練習してみようか」と答えたが、その夜いつものように練習すると、ほんとに飛べなくなっていた。手をつく直前でとまってしまっているからだ。怖い気持ち不安な気持ちがでてきたんだろうとすぐに分かった。「練習今日はやめとこうか〜」と。次の日からまた飛ばずにタイミングの練習だけをすることにした。その頃、(私が)初めて本物の跳び箱を見た。母か父の背中跳び箱とは違って本物は思った以上に高く、本人は「四段飛べるようになりたい」と言っているが、いやいや三段飛べたら実力以上。花丸だという感じだった。

それから、次の次の日くらいにお迎えにいくと「ママ〜四段とべた!!」と走ってきた。ええ??狐につままれたような心境だったが、どうやら本当で、スランプから脱出すると急に四段がとべるようになったのだ。保育園のお帳面に「あきらめずにやればてきる!という宝物を手に入れました!!」と書いてあり、「ほんまや〜」と心底感じ、本番前に泣きそうになる母でした。

あきらめずに頑張ったからと言って結果がついてくるとは限らないし、その過程がなにより大事な経験だとおもってきたが、「あきらめずに頑張ったらできるんだ」と自信につながることも大事なんだと、娘の姿を通して学ばせてもらった。小さいながらも、怖い怖いと自分の気持ちと向き合って、飛べる飛べると、言い聴かせ、心の準備が整ってから、踏み切ること。こうやってみるといい。このズボンがいい。と本人なりに工夫を重ねる姿、揺れて涙が出てくる姿に幾度となく「出来なくても、飛べなくてもいいやん」と言いたくなったが、それをぐっとこらえて、練習につきあうのもなかなか辛かった。私にとってもほんとにいい経験だったな・・・。本番、めっちゃ緊張してたけれど、四段無事飛べました☆素晴らしい☆

当日は、はしゃいだ笑顔あり、真剣な顔あり、緊張あり、楽しかった。運動会は終わったけれど、子どもたちにもらった宝物を忘れずいきたいな。

(2012年10月)