スタッフエッセイ 2012年8月

これって何なんだろう?

森葺a代

「これって、何なんですかね・・・」先日、不意に問いかけられた。

問いかけてきた彼女は、最近結婚し、秋にはママになる20代半ばの女性。最近、よく動くと言っていたおなかの中の赤ちゃんのことかと思いきや、どうもそうではないようだ。では、パートナーのこと?いや、直接的にはそうでもなさそう・・・。

彼女には、卒業後も1ヶ月に1度は集まり、遊びに行ったり食事をしたりする気心の知れた学生時代からの友人グループがあるという。集まりは大抵土曜日か日曜日で、朝から一日遊んで夕飯を済ませて解散、というパターンで毎月楽しみにしているらしい。

「でも最近、今までのようには行けないんです。これって、何なんですかね・・・」

彼女は結婚したからといって、特に何が変るわけでもないと思っていた。ところが、何かが、これまでと違うという。彼女は結婚後もこれまで同様仕事を続け、その他のことも、自分の行動は自分で決めるので夫の了解を得る必要もなく、伝えたところで夫は行くことに反対するタイプでもないらしいのだが。

聞けば友人たちは、まだほとんどが独身。「行けないではなく、行かない、と断る理由が未婚の友人たちにわかってもらえるのか…?」から始まり、「友達よりダンナを取るのかと思われるのは心外」「だれに咎められることもないのに、行くとなると罪悪感のようなものを感じる」「夫が一人でいると思うとかわいそう?でも、彼は一人でも大丈夫な人」「逆の立場なら嫌だと思うから行きたくないのかな?」ああでもないこうでもない…。どれも何かしっくり来ないという。そして、断るにもその心情が複雑で、自分でも不可解で、説明の付きにくい感情に、「これって、何なんだろう?」となるらしいのだ。

そういえば、かつての若かりし頃の私にも覚えがある。夫は土日会社が休みで、土日しかゆっくり一緒にいる時間がない。それなのにその土日、私は、行きたいところがあり出かける、ということになると、何というのか、そのことさえ言い出しくかった自分がいた。夫に言っても怒らないだろうし、ダメとも言わないだろう。彼は彼で自分のしたいことをするだろうに。

これって、何なんだろう?と、お互いあれこれ話すうち、これは、「家族」を作ろうとしている時期だからかもしれないという話になっていった。結婚を機に一緒に暮らし、お互いいろいろな違いに気付き、その違いをすり合わせ、新しい二人の生活スタイルや生活ルールを作り上げ、「家族」になっていく。女性のライフサイクル同様、結婚生活(夫婦)にも家族のライフサイクルとその発達があるのだ。そう考えれば、相手を大切に思い、新たな夫婦としての関係づくりをしようとしている、今、その時期の複雑な思いなのだということに気付き落ち着いた。

翻って、結婚生活27年目の私たち夫婦。夫は単身赴任9年目。二人の子どもたちも成人し、上の娘は社会人になった。そして8月。8月といえばお盆。お盆といえば長期休暇。帰省して家族が集まったり、亡き人をしのんでのお墓参りなどがあちこちで行なわれているだろうか。我が家でも例外ではない。夫が休暇で帰宅し、この春から一人暮らしを始めた息子も夏休みを利用して帰宅。義父と義妹夫婦が来阪、恒例の実家のお墓参りもある。妻として、母として、嫁として、娘として過ごすお盆?いや、私は私だ。しかし、家族の成員でもある私。これから私は、役割ではなく、「家族」とどのように関わっていくのか、それがまた新たになる時期に来たと思う。これまで同様自分自身を大切にして、さらにバランスよく、「家族」も大切に考え、過ごしたいと思う。

今年度秋に発行される、女性ライフサイクル研究所年報22号のテーマは、『いま、家族を問う』。様々な視点から家族を考える1冊だ。私自身、この1年間に「家族」に大きな変化があり、その変化をゆっくり受け止めその変化を消化するために、今回論文執筆は見送りコラムを執筆している。みなさんも「家族」についてかんがえてみませんか。この機会に、ぜひご一読ください。

(2012年8月)