スタッフエッセイ 2012年8月

個人的IT革命

下地久美子

今さらだが、ここ10年ばかりのITの進歩というのは、目を見張るものがある。私は、超がつくほどのアナログ人間なので、周りの流れからは、完全に取り残されている気がする。友だちの中には、買い物はもっぱらネットばかりという人もいて、世の中、変われば変わるものだとしみじみ感じる。

実は、つい最近まで、アマゾンで本を買うこともできなかった。人に言うと、「あんた何時代の人間やねん」とあきれられるが、やっぱり本は、本屋で実際に手に取って、活字の大きさとか、中身を吟味してからでなきゃ、失敗したら嫌だしさぁ〜というのが私の言い分だった。在庫がない場合は、わざわざ本屋に取り寄せてもらって、また買いに行くということをしていた。それが、数カ月前に試しにアマゾンで本を頼んでみたら、あまりの便利さに驚いた。送料もかからないうえ、注文した翌日には家に配達してくれるから、読みたいときにすぐ手に入り、荷物にもならない。おまけに本屋にある本よりもずっときれいな本が届くではないか。大げさに言うと、昔の人が未来に来たような感動があった。

それからは、ネット通販って使えるなぁ〜と、あれこれ注文するようになった。夏のお茶は、沖縄のさんぴん茶が気に入っていて、近所のスーパーには売ってないので、いつも沖縄の親戚のおばさんに送ってもらっていた。しかし、ネットだとそんな手間暇かけなくても、欲しいときに欲しい分だけ送ってくれて、お礼も何もいらないのがありがたい。

さらに、この頃、活用しているのが、クックパッド。おそらく誰でも知っているお料理レシピのサイトだが、それを見て作ると、ほとんどハズレがない。これまで適当につくっていて、いまいち味が決まらないと思っていた「レバニラ炒め」とか「ポテトサラダ」なんかが、とっても美味しく仕上がって、すごいなぁ〜と恐れ入った。

調子づいて、友だちに誘われるまま、Facebookに登録したが、これは、どう使えばいいか、正直よくわからない。使いこなしている人は、ちょっとしたコメントを書いたり、写真を次々とアップしたりしているのだが、私はというと、「別に、人に知らせるような出来事もないしなぁ〜」と、躊躇している。なんというか、うまく大縄跳びに入れずに眺めているような感覚。おそらく、私の場合、IT革命が普通の人より5年以上遅れているので、こういう最新ツールはどうも苦手なのかも。と思っていたが、それだけではなく、TwitterやFaceboookが得意な人は、サービス精神が旺盛で社交的なタイプが多いのではないかと思う。自分が楽しかったことや有益な情報は、人にも教えてあげようという親切心のある人だ。

どうもそういうサービス精神というのが、私には足りない。次男からよく「お母さんってさ、オレの友だちに愛想ないやんなぁ〜」と言われる。そう言われて、ちょっと心外だった。家に遊びに来てもらうのを嫌がっているわけではなく、「○○君、最近、学校のほう、どう?」なんて、友だちのおばちゃんに聞かれても困るだろうと遠慮していただけなのだけど。よそのお母さんたちは、子どもの友だちに対して、もっと愛想よくするのだろうか。とまあ、こんな風に、息子にダメ出しされるぐらいなので、どっちかというと無愛想なほうだし、社交的でもない。だから、ネットでもあまり積極的に書き込みをするということができないのかもしれない。

アマゾンのブックレビューとかクックパッドのコメントを書く人というのも、やっぱり親切な人たちなんだろうな。ネット上では誹謗中傷の書き込みが多いのかと思っていたら、一方では温かいメッセージもあふれていて、救われる思いがしている。

どれぐらい近づくのが良いのか、適切な距離というのを測りかねているが、無理はせず、「あの人、感じ悪いよね〜」と言われない程度ほどほどにITと付き合っていきたい。

(2012年8月)