スタッフエッセイ 2012年7月

夏が奏でる音

窪田容子

夏は窓を開け放すせいか、音で季節を感じることが多いように思う。先日も寝ようとしてベットに横になっていると、風向きが変わったのか、いつもは聞こえないカエルの鳴き声が池のある方向から聞こえてきた。

梅雨が明ける頃には、セミが鳴き始める。引っ越す前の家は、近くにケヤキの大木があり、幹にセミがびっしりはりついていた。朝早くから、アブラゼミやクマゼミが大合唱をして、目覚まし時計の音も、テレビの音も、話し声もかき消されてしまうほどだった。ツクツクボウシが鳴き始めると、夏の終わりが近いことに気付かされる。この辺りではあまり聞けないけれど、田舎で聞くヒグラシの鳴き声には、いつも心が揺らぶられる。悲しげで寂しげで、どこか焦りや不安を感じさせるような。それでいて、なんだか懐かしいような。そんなヒグラシの鳴き声も好きだ。

朝、聞こえてくる鳩の鳴き声には、早朝、ラジオ体操をしに公園に集まった子どもの頃を思い出す。今年は子ども会の役員をしているので、夏休みには皆の分のジュースとお菓子を持って、子どもたちとラジオ体操に行く予定だ。

夜に聞こえていた、「ジー」という虫の音は、しだいに「リーンリーン」という虫の音に移り変わっていく。秋が深まり、冬が近づいても聞こえてくる「リーンリーン」に、虫たちもがんばってるなぁといつも応援したくなる。

夕立がザーッと降る音や、雷の轟き、風がざわざわと木々を揺らす音、打ち上げ花火の爽快な音にも夏を感じる。ご近所の家からは風鈴の音が、「チリン、チリン」と聞こえてくる。この夏、音の綺麗な風鈴を、できれば旅先で買いたいな。風鈴の音を聞きながら、楽しい思い出が一緒に思い起こせると嬉しい。

慌ただしく過ぎていく毎日の中にあっても、夏が奏でる音に耳を傾け、移り変わる季節を感じる心のゆとりを大切にしたい。

(2012年7月)