スタッフエッセイ 2012年4月

頭が凝る?その3

前村よう子

前回(1月)のエッセイで、数学免許取得の為のスクーリング(対面授業)ついて書いた。昨年12月から始まったスクーリング(解析学・幾何学・代数学・確率論)、少し間を開けて2月に実施されたスクーリング(データ解析・プログラミング)の結果、3教科合格、3教科は不合格ということで、今年の7月から8月にかけて、再びスクーリングを受講することとなった。やはり、30年以上前に取った杵柄、いや杵柄さえ取っていない状況では無謀な挑戦だったのだなと実感している。

実は今、かなり落ち込んでいる。この原稿を執筆している今日、科目最終試験を受験してきた。もちろん、チカラを出し切れなかった事を既に実感しているからこその落ち込みだ。

通信制の大学では、スクーリングとは別に教科書や参考図書を元に自学自習し、定められたリポートを提出した上で、科目最終試験を受けるというシステムがある。テキスト履修と呼ばれる形式で、この形式によって私は6教科を取得せねばならない。現在、4教科に合格。今日は残りの2教科を受験してきた。理数系で大学を卒業し、数学免許取得の為に通信制で学んでいるという人たちが口を揃えて「一番困難な教科だった」と語るのが、幾何学概論であり、今日受験した一つがそれだった。

頭が凝るどころではなく、おそらく自分自身の大学時代4年間を通じてよりも、社会科で教員免許を取得した時よりも、畑違いの情報科の免許を取得した時よりも、何倍もの集中力でここ1ヶ月ほど勉強してきた。受験したもう一つの教科は、計算間違いさえなければ何とかなりそうだが、幾何学概論だけは全く歯が立たなかった。

試験開始と同時に問題用紙に並ぶ問題を見て、頭が真っ白になった。「うわっ、出たらどうしようってところばかり・・」

日頃、教え子には「苦手なところこそ勉強した方がいいよ」なんて言っている自分が情けない。「やばい」と思っているなら、そこをこそ勉強すべきだった。もっと時間をかけるべきだった。何を言っても、後の祭りである。自業自得とはまさにこのことである。

今日の試験結果が正式に通知されるのは、5月下旬。その後、再試験の申し込みができる。再試験を受ける日は、秋入学の私にとっては、ラストチャンスの日となる。次回ダメだったら、再度、科目履修登録をし直さねばならない。再試験ではなく、一から科目を履修するので、全てやり直し。どんどんゴールが遠ざかっていく。

勉強しても勉強しても、右から左へと知識がこぼれだしていくようなこの感覚、自分の中にとどまってくれないような感覚。「勉強が苦手だ」という子ども達は、こんな風に苦しんでいるのだろうなと、今更ながら共感できた。

その昔、娘が小学生の頃、担任から「よかったですね、前村さん。お子さんが勉強を苦手な子で。教師として生徒の気持ちに寄り添えますもんね」と、何と反応してよいのか迷うような事を言われた覚えがある。少しムッとしながらも、確かにそういう側面もあるかなと思っていたが、甘かった。あの頃の私には、まだまだ勉強が苦手であるという気持ちには寄り添えていなかった。

今なら大丈夫。「英語の単語なんて全然頭に入ってこない」「日本史の漢字、難し過ぎる」「古典なんてさっぱりわからへん」という教え子たちにも、「わかるわー。そうやんなぁ。別に頑張ってない訳じゃないもんなぁ。頑張っても頑張っても、なんか空回りしてる感じがするんよ」と心から共感できる。

転んでもたたでは起きない私。この気持ちを大切に、この夏の再チャレンジを乗り切るぞ。

(2012年4月)