スタッフエッセイ 2012年2月

人生の正午VI − 充実した過ごし方とは

窪田容子

今年はどんな一年を過ごそうかな・・・と思っているうちに、二月に突入した。本当に月日が経つのが早い。年末は、立ち止まって一年を振り返る良い機会になるのだが、去年暮れに一年を振り返った時、あまりにも早かったというのが一番の印象だった。

たくさん働いた。カウンセリングの申し込みも多かったし、講演活動も、以前の講演先から再度依頼を頂いたり、研修会に参加された方が自分の組織にも来てほしいと企画してくれたり、評判を聞いて依頼を頂いたりした。原稿執筆や、取材を受けたり、テレビ出演もした。

そしてたくさん学んだ。去年は関心のあるテーマの研修会がたくさんあり、臨床動作法、行動療法、EMDR、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)、応用行動分析、そして解離性障害、発達障害、虐待、震災支援などについて、学びを深めることができた。予定が重なり、泣く泣く断念した研修会もたくさんあったが、それほどに学べる機会があることがありがたい。

プライベートで楽しいこともたくさんあった。海、プール、バーベキュー、アスレチック、お祭り、紅葉狩り、スキー、USJ・・・。そんな話を子どもが学校でしゃべっているのだろう。子どもの担任に、「○○くんちは休日もすごい充実してますね〜」と言って頂いた。上の子はすっかり思春期だし、中の子はギャングエイジ、下の子もそろそろギャングエイジに向かう時期だから、親子で遊べる時間はもうあまり長くはない。子どもと過ごす時間は、大切にしたい。一方で、同じように子どもの手が離れてきた同世代の友人たちと、集まって楽しむ機会も少しずつ増えてきた。これも大切にしたい時間だ。

仕事は忙しいけれど、社会に自分を必要としてくれる場が多くあるということでもあり、このご時世に本当にありがたいことだと思う。心理に関する研修を受け学ぶことは、臨床家としての成長につながるばかりではなく、自分の生き方についても目を向ける機会となり、人としての成長にもつながっていくことが多いように思う。これもありがたいことだ。子どもの手が離れてきたとはいえ、やんちゃな子たちで、いろいろと問題も引き起こしてくれる。びっくり、どっきりさせられることもたくさんあり、毎日が刺激的である。

随分がんばってもきたし、充実した一年だったようにも思う。だけど・・・

友達からの年賀状に、「充実した一年にしたいね!」と書いてあった。その言葉が、頭の隅っこにひっかかったまま、揺れている。充実した一年って、どんな風に過ごすことだろう?

時間を効率的に使って、たくさんのことをすること。それは、人生の前半には充実した過ごし方につながるものだったと思う。だけど、今の私にとっては、そういう過ごし方は何かがそぐわない気がする。そうやって過ごせば、またきっと、あっという間に一年が過ぎいく。そうすれば、十年だって、二十年だって、あっという間に過ぎてしまう。

そんな風に過ごした時間は、もっと先の時点で振り返ってみれば、忙しくも充実した輝く時間だったと感じるのかもしれないけれど・・・

自分の中に、「それでいいやん。そんな毎日でいいやん。」という気持ちもあるし、「ほんまに、それでいいの〜?」という気持ちもある。今すぐ答えは出ないし、出さなくてもいい。忙しさが増すとそんなことを考える余裕もなくなってしまいがちだけど、今しばらくは、このテーマを頭の隅っこにおいて、どこかで意識して過ごしていきたいと思う。人生の午後には、人生の午前とはまた違った充実した過ごし方があるような気がするから。

(2012年2月)