スタッフエッセイ 2011年12月

「痛〜い!!!」

森葺a代

朝起き抜け、トイレから出て扉を閉めようとして、なぜか扉に右手を思いっきり挟んだ。冷たい手もかじかむ、初冬の朝のあまりにも突然のできごと。もう、痛いのなんのって・・・。多くの人はこんなとき、泣きそうになりながらも思うのではないだろうか。

「わたし、何か悪いことした?」

いったい誰に聞いているのか?誰に向けることも出来ない怒り、情けなさ。子どもの頃、誰からか言われた「バチがあたった」、と思うのだろうか。「だからといって…」「いやいやそんな悪いことなんか、何もしてない!」と、理不尽な思いさえする。そんなことを思いながら手を見ると、右手小指の先が赤くなっている。そして、その赤みは徐々に大きくなり、膨れ、ついに立派な血豆になった。すると、久しぶりのことに何故かちょっとうれしくて微笑む。測ってみた。縦6mm、横4mm、高さ2mm。「へ〜」、そして思う。

「人間の身体ってすごい!」

その時タイミングよく、のそのそと起きてきた息子に自慢げに言った。「珍しいもん、見したろか?ほら!」「何それ?」「血豆やん!珍しいやろ〜」「そうか?皮膚の中に血が溜ってるだけやろ」「ちょっと、触ってみ」「いらん!!!」「・・・」

ビミョ—な空気が流れる。

不思議やのに。こんなにすごいのに。興味が無いとはがっかりだ。作ろうと思っても出来るものではないし、これがこれから、そしていつごろからどうなっていくのだろう?と興味も湧くやろ?と思うのはわたしだけか・・・。そして、ふと思った。

人には、時として思いがけないことが起こるな。

日々の暮らしの中、人間関係の中で、様々な場面で。それは、思いがけず自分の身に起こり、うれしくなったり、悲しかったり、落ち込んだり、絶望的になることも・・・。周囲の人には興味も無く、関心も無いまま、その出来事は過ぎていったりすることもある。忘れ去り、忘れ去られることもある。自分も他人も。しかし、決して忘れてはいけないこともある。今年最後、一枚残ったカレンダーをみて、ひとり静かに考えた。

(2011年12月)