スタッフエッセイ 2011年9月

え!なんで!?

森葺a代

夜間の仕事帰り、閉店前のスーパーで半額になった食材やお惣菜を、ほくほくの思いで買い込み、レジで支払いをしようとバックを開けるが、財布が無い・・・。え!なんで!?さっきまでのうきうき感はどこへやら・・・。え!なんで!?電車に乗ってここまで帰ってきたのに・・・。しかし、いくら探しても無いものは無い。なんでないの!?

よく考えると・・・、そうだ!最近は、電車・バス・地下鉄には財布が無くても、つまりお金が無くても乗れてしまう。便利なICカード(スマートイコカ)を使っているからだ。このカードには、コンビニや駅ナカのお店やレストランなどでも使える電子マネーも付いているし、財布を忘れても全く気づかず一日を過ごせてしまうことがある。

しかし、片田舎のスーパーで、ICカードが使えるわけも無く・・・。かといって、せっかく集め買い込んだお惣菜を返すのも悔しい・・・。さて、どうする?わたしは迷った挙句、自宅に走って帰り財布を取りに行くことにした。「これ、置いといてください」と言える度胸と、走って帰られる体力に感謝して。

仕事帰りに立ち寄った素敵なお店で、アンティーク風のおしゃれ時計を見つけ、ルンルン♪そして、喜び勇んでレジに持っていくと、なんと店員さんが満面の笑みと美しい声でおっしゃる。「28,000円になります」と。『え!?なんで!?2,800円じゃないの?』そうだ、中高年の悲しさ。ちゃんと老眼鏡をかけていなかったせいで、0をひとつ見落としていたのだ・・・と反省するも、「2,800円じゃないんですか?」ともいえず・・・。それにすごく気に入ったし・・・。さて、どうする? 現金は持ち合わせていなかったが、一応おとななので、現金が無くても買えてしまうキャッシュカードを持っている。ちょっと迷ったが、買ってしまったわたし。

お店に入ろうと、ドアの前で立ち止まるがドアは開かない。外出先のトイレで手を洗おうと手を出すが、水が出ない。一瞬、え!なんで!?と思ってしまうほど、便利な世の中になり、その便利さに慣れてしまった。この便利さは、人の注意力や、緊張感、忍耐力など、さまざまな能力を時に奪う。どんどん便利になっていく社会、自分の能力を失わないように、便利さに絡め取られないようにしっかり生きていかなくちゃ。

(2011年9月)