スタッフエッセイ 2011年9月

お元気ですか?

おだゆうこ

カウンセラーとして、働きはじめて今年で8年目を迎える。振り返ってみると、仕事を通して、色々な人との出会いがあった。

FLCのスタッフやクライエントさんとの出会い、グループや講師、ボランティアを通しての出会い。学校現場での先生や子どもたち、親御さんとの出会い。福祉施設での職員さんや子どもたち、お母さん、その他の関連職の人達・・・。

その間に出産や子育てを経験したので、8年間丸ままの職歴とは言えないが、細々とでも続けてきたのは、今まで出会った、子どもたちや親御さん、クライエントさんとの繋がりが大きい。

マイペースな私にとって、子育ては楽しいが、器用でも効率的でもないため、両立するよりは、子育て期間として、おもいきって仕事は長期休業し、地域の子育て活動や地域行事にかかわっていくのも、一つだなぁと悩んだ時期があった。

でも、どこかで、妊娠を機にお別れしたクライエントさん、親の都合や退所や引っ越しを理由にお別れをした子どもたち、卒業や新たな処遇によりお別れすることになった子どもたちのことが、どこかで気になって、ふと、思い出すんです。『どうしてるかなぁ?』『なんとかやってるかなぁ。』『いい出会いがあったかなぁ・・・』『晴れの(笑顔)日もあるといいなぁ・・・』って。

想えば、やる気と気持ちだけの新米カウンセラーを、鍛えて、育ててくれたのは、懲りずに、私との会話や遊びの時間を共有し、共同作業をしてくれた、クライエントさんや子どもたち、親御さん達に他ならない。

プレイセラピーでは振り回され、色んな枠破りをしてくれた子どもたち。子どもと向き合うことの難しさと、そのために大人が真剣に悩む必要があること。はじめから決まっている「管理や制限の枠」ではなく、みんなそれぞれ、自分にあった、「安心できる守りの枠」がほしいし、それを一緒に作ってくれる大人の手が必要なことも教わった。

理不尽に受けてきたやり場のない「怒り」のもつ破壊力と、そこには、とてつもない哀しみが溢れていること。そして、それは、加害者に向けられるというよりは、世の中に対する「怒り」や「絶望」であるということ。暴力支配の構造の真髄を、小さな体、全身全霊で受けていることが分かった時、世の中の一員である私にも責任があり、私やその他の大人たちが、真剣に関わっていくことで、怒りや絶望が和らぐ可能性があることも教えられた。

「発達障害」「特別支援」という言葉が、学校現場で流行り出す以前から、家庭の中でも子育てで悩み、「要求ばかりする親」「母子密着」として、学校にも理解されずに非難されてきた親御さんからも、多くのことを学んだ。親の会と言う繋がりをつくり、専門家を巻き込み、足場を作りながら、変化や個別対応をなかなか受け入れない学校に働きかける姿には、本当に頭が下がる思いだった。学校という社会を変えていくのは、母親の力だなぁと実感させられた。しかし、そこに至るまでには、どれだけの傷つきや孤立無援感があっただろう・・・学校現場が特別支援の枠組みで(どんな名目であっても)集団の中での個に目を向け、理解し、対応していこう、また集団にもその視点を生かそうと模索している昨今、当時必死で学校や先生方とやり取りしてくれた、お母さんのことを思い出す。そして、そうした人たちのお陰であるなぁと、感謝の気持ちと共に、今一度話をしてみたいなぁという気持ちになる。

また、たび重なるトラウマを経験し、逆境を生き延びてきた人たちにも、人の持っている底力、ユニークさ、自己防衛本能、適応能力、人としての魅力・・・神秘の力・・・いろんな気付(そこには、どうしようもない悲しみや傷つきや孤独もあるが・・・それでも色んな力を身につけながら、生きようとする力に)勇気と希望をもらった。そして、人は関係(相互作用)の中で生きていく生き物であり、それが切れてしまったり、一方的な関係になってしまう時、どこまでも自分勝手に、残酷になれるということもわかった。人とのつながりが、どうして大切なのか、いろいろなことをクライエントさんから学んだし、自分の経験を通して考え、心で感じてみることの大切さも教わった。

カウンセリングの関係の中で、心配したりされたり、勇気づけられたり、出会う事が楽しみになったり、安心や安全、自分を大切にする感覚を育んだりすることは、当然ながら、一方向ではなく、私もクライエントさんから学び、育まれてきたことを意味する。私の専門性は、みなさんと出会ってきた証なのだろうと思います。

出産を機に、カウンセリングを中断したり、終結となったクライエントさん、しばらくお会いしていないクライエントさんやその家族、『みんなどうしているかなぁ・・・』私や子どものライフサイクルと共に、ふと思い出される。『もう成人したころかな?』『彼氏とは上手くやれてるかな??』『仕事と子育てと無理しすぎずやれてるかな?』

私の出産や子育てが、クライエントさんに影響を与えることとなり、私自身にも大きな影響があり、改めて共同作業をしていたこと、違う人間で違う人生だけれど、繋がっていたことを実感した。普段はなかなか気がつかないけれど、そうやっていろんな人に影響を与えたり、受けたり、しながら生きているんだなぁと。

本当は、一人一人にお手紙を出したい気持ちでいる。『あれからどうしていますか?今はどうしていますか?いい出会いがあり、居場所がみつかりますように・・・』と。いつも心で祈っています。

私は私でこの仕事を続けていれば、いつかどこかで、また、つながれる時が来るかもしれない。同じ人にではないかもしれないけど、皆さんから学んだことを、次に出会う人に生かし、皆さんから聴いたメッセージが、また別の人を勇気付け、理解者をつくることに繋がったり、間接的ではあるけれど、皆さんとの今までの出会いをこれからも大事にして生きたいと思っています。私は元気にしています。どうか皆さんもお元気で。

(2011年9月)