スタッフエッセイ 2011年8月

ふるさとの味

前村よう子

「B−1グランプリ」という催しがある。B級グルメと呼ばれる日本各地のご当地グルメのグランプリを決める催しである。毎年1回実施されるもので、過去5回開催されてきた。今年は11月に第6回大会が私の出身地で開催されるらしい。行きたいけれど、日程的に無理なので、少しがっかり。

私の出身地は白鷺城で知られる姫路市だ。高校卒業まで暮らしていたが、姫路に居た頃の故郷自慢といえば白鷺城であり、その他に何があるかなど全く気にせずに過ごしていた。ふるさとの味と言っても、ぴんと来なかった。

故郷を離れて大学生活を送り、大阪で就職・結婚・出産・子育て・再就職という流れの中で、いつの頃からかふるさとの味を懐かしむ自分に気付いた。

私のふるさとの味、一つ目は「姫路駅そば」。当初、JR姫路駅構内で販売されていた立ち食いのそば店で食べることができた姫路ならではのそばである。そばと言っても、日本蕎麦のように蕎麦粉を使った黒っぽい色のものではない。黄色の中華そばを使っている。どうやら普通の中華蕎麦でもなく、姫路駅そば用に特別に作られた中華そばらしいが、とにかく見た目も食感も中華そば。でも出汁は関西風淡口のうどん出汁。

物心ついた頃から、JR(当時は国鉄)で神戸や大阪に行く時や帰ってきた時に、この駅そばを食べるのは当たり前になっていた。中学高校時代、学校の学食で食べたそばも、この駅そばと全く同じものだった。

今は、大阪でもこの駅そばを味わえる。なぜか阪神百貨店地下1階のフードコートに、数年前から姫路駅そばの店がある。本家大本の姫路駅でさえ食べることのできないメニュー(冷やし駅そば)まである。最近では、週1でこのフードコートに通っているが、何度食べても懐かしい。

二つ目は「イトメンのチャンポンめん」。子どもの頃は「ヤンマーラーメン」と呼んでいた。トンボのキャラクターの付いた袋麺だったので「ヤンマーラーメン」だったのだろう。現在は、大阪でもお店によっては手に入るようになったし、ネット通販も可能となったが、15年前までは大阪では手に入らない袋麺だったので、兵庫県に行く度にスーパーに立ち寄って買い溜めしていた。それほど好きな袋麺だ。

実母は「食品添加物」を嫌っていたので、祖母宅に泊まりに行った時のみに食べることができた懐かしいふるさとの味である。今では、夫や娘もこのチャンポンめんのファンになっている。

B−1グランプリで出品されるらしい「姫路おでん」については、残念ながらそれほど思い入れがないのだが、食べてみるとひょっとしたら懐かしい味なのかもしれない。

ふるさとの味は、万能でない。不味いと感じる人もいるだろうし、「言うほどのことはない」と判断する人もいるだろう。味そのものより、その味にまつわる思い出が、よりふるさとの味を強化している気がする。姫路駅そばも、イトメンのチャンポンめんも、大好きだった祖母との懐かしい思い出と共に私の中にある。

(2011年8月)