スタッフエッセイ 2011年7月

夏の風物詩

津村 薫

「このごろ、朝も早うからセミがうるさいでしょ。あれを聞くと、夏やなって思いますなあ」と、タクシーの運転手さんがのんびりと言う。ウンウンとうなずき、「本格的な夏がきたーって感じがしますよね」と私。

夫が、子ども時代に体験していたセミの鳴き始める順番が、いまは違ってきたと言っていた。最初は〇〇ってセミ、次は〇〇、それから〇〇が鳴くんや。ホラ、〇〇はこんな鳴き方するやろと、少年みたいな表情をして丁寧に教えてくれるが、「あー、そういえば」と思うくらいで、よく理解できない。虫オンチでごめん。

私は夏が好きだと何度も書いたことがある。トシと共に、猛暑にげんなりすることが増えてきた。それでもやっぱり夏は胸弾む、大好きな季節だ。子ども時代、思春期、大人になってから、結婚してから、子育て中、そして子どもが巣立ってから。実に40数回もの夏を楽しんできたんだと思うと感慨深い。

夏といえば、夏祭りのお囃子、祭りで食べるいろんなものが浮かぶ。ソースの香りが一番印象的なのは、やはり粉もののメッカ、大阪生まれの大阪育ちだからか?

子ども時代を思い出してみる。花火、スイカ、キャンプ、ラジオ体操、プール、かき氷、うちわ、風鈴、打ち水、浴衣、扇風機(ウィンドファンとかいうのが当時全盛期だったっけ)、それに、「夏休みの友」という宿題のドリル、絵日記、工作。それらが浮かぶ。子どもの頃から本好きで、書くことも好きだったため、読書感想文には苦労した覚えがないから、その他の宿題を溜めて手こずったんだろう(笑)。夫は全くその逆で、工作だの観察だのが楽しかったらしい。

心霊番組をドキドキしながら見るのも楽しかった。私と同じ世代の人に、「あなたの知らない世界」の話をすると盛り上がるので、私以外にもそんな人たちは多かったんだろう。「再現フィルムにドキドキしましたよねー」「そうそう!」という会話を何度したかなあ。

大人になっても、心霊番組だの怪談だのは結構好きだった。ただ、私は基本的に小心者で怖がり。ドキドキしながらそれを好む性質なのだ。最近、出張が多いので、ホテルで思い出してしまいそうで、残念ながら趣味から外した(笑)。同じく怖い映画を観るのを好んでいた娘も、ひとり暮らしをしてからはやめたーと言っていたので笑ってしまった。

筋金入りの心霊番組好きの友人は、家族が寝静まった後に録画した心霊番組を見るというのだから、すごい。「どうやった?」と聞くと、「イマイチかなー」と言うので昼間に見てみたら結構怖くて、「どこがイマイチやねん〜」と突っ込んだことがある。何事にも上には上があるもんだと、こんな時にも思い知らされる(笑)。

水泳を何年も習い続けて得意技にした自分としては、やはり泳ぐことが夏の風物詩としてランキング上位になる。最近はジムに行けば年中泳げるけれど、太陽の下でプールに入るという体験をもうずっとしていない。子どもが小さい頃くらいかな。そのうち子どもも友達同士で泳ぎに行くようになり、親の出る幕がなくなると同時に、水着を着る機会も、プールに行く機会も激減した。やっぱり水は好きだ。時々は泳ぎたいな。

大人になってからは、季節を音楽で思い出すことが多い。オメガトライブが私の青春だったので、夏に聴く音楽といえば真っ先に思い浮かぶ。夫(当時は彼氏、笑)の車でドライブする時のBGMはオメガトライブが多かった。そして私と同世代の人はわかってもらえるだろうが、大滝詠一の「LONG VACATION」。カセット(時代を感じるでしょ)が擦り切れるくらい聴いた。

サザンオールスターズのデビューは高校1年生の頃だった。なんと素敵な曲をたくさん世に送り出してくれたことだろう。いまも第一線で活躍している彼らを見たり、音楽を聴くだけで元気が出る。ちなみに、「希望の轍」が一番好き。

そうそう、氷をがりがり削る機械を買ってもらって、きょうだいでわいわい言いながらかき氷を作って、いちごの蜜をかけて食べたっけ。子育て中、娘にねだられて、やはり買った。まだそれが我が家に残っているが、使うこともなくなった。いま、我が家の冷凍庫にはさまざまな種類のアイスが並び、1日1個、それを食べる。「今日はなに食べようかなー」と迷いながら選び、のんびり食べるのが楽しみ。

この夏はいつもに増して出張が多い。知らない土地でのお祭りを見たり、夏の風物詩を見たり味わったりすると、さまざまな人たちにそれぞれの夏が息づいているんだなあと思う。

そうそう、いまの私の夏の風物詩といえば、夏に定例で開催される研修や講演、そして、女性ライフサイクル研究所の仲間たちで立ち上げ、いまや定例の子育て支援者研修になったキッズ・サポーター・スキルアップ講座かな。2日間、終日集中研修全8コマのもの。

当時望んだように、さまざまな保育所、子育て支援機関、幼稚園が職員研修として利用してくださる研修になり、定員を超え、キャンセル待ちが出るまでになった。自分のメンテナンスのためにと何回も受講してくださる方までいる。私たちメンバーはこれを「熱闘甲子園」と呼ぶが(笑)、気合いの入る夏の行事。

年を重ねるごとに夏の風物詩が増えていくのは、たくさんの夏を頑張って生きてるってことだよね。この夏も頑張れ、私。

(2011年7月)