スタッフエッセイ 2011年1月

プチ家庭菜園の1年

桑田道子

一昨年、ガーデニングデビューした我が家。完全無農薬で、栄養は牛糞・鶏糞・魚粉・油カスなどの自然のものを少し、焼酎と鷹のツメで作った虫除けを気がむいたときにスプレーして、しょっちゅう水やりを忘れるスパルタ農法だが、夏の2ヶ月は、きゅうり、なす、プチトマト、ピーマン、ミックスリーフやバジルなどの小さなハーブが豊作で、毎日新鮮な野菜を食べることが出来た。季節にかかわらず、ローズマリー、ミント、パセリ、三つ葉、ねぎが収穫できるので、ちょっと欲しいときに庭からすぐ取ってきて、料理に使うことが出来る。

秋には、もとが小さな苗だったのもあり、実がなるのに5年位はかかると言われていたオリーブが数粒だけだが実をつけたので、塩漬けにした。店で買うオリーブよりも、香りも味も濃厚で、オリーブの実を食べてオリーブオイルの味を思い出したのは初めてだった。来年はもっと実をつけてくれればいいなぁ。試しに植えてみた枝豆は、まったく栄養もやらずに水やりだけだったが、実がたくさん成り、茹で枝豆は、甘くて、芋のようだった。そして、レモンも2コだけだが、収穫できた。レモンは10センチぐらいの苗を買ってきて、小さな植木鉢(しかもプラスチックの)で育てただけだったので、期待せず、かわいい白い花が咲くのを楽しんでいただけの1年だったが、翌年には、可憐な花を咲かせ、その花が落ちた後に小さなぷっくりとしたふくらみがいくつも出来ているのを発見したときは驚いたし、嬉しかった!たくさん実をならせたいが、欲張らず、30枚の葉に一つの実の割合、と本で読んだので、実を3つだけ残して、後は摘果した。3つの実が順調に育ち、直径が8センチ程になったときには、2つの実に、より栄養をいきわたらせるため、さらに1つを摘んだ。少し複雑な気分。こうして黄色く立派に成長したレモンは、皮ごと食べてやろうと薄切りにして、黒砂糖と蜂蜜につけた。そのままかじったり、紅茶に入れたり、炭酸水で割ったりしている。

この冬は、大根、にんにく、たまねぎを収穫できた。にんにくとたまねぎはすぐ使わない分は、くくって干しておく。大根は普通に買うより、長さが短くて太く、だるまのよう。これが、茹でて食べてみると、きめが細かく、甘く、口のなかでとろけ、カブと大根の間のような、今までで食べた大根のなかで一番美味しいものが出来た!大根の葉もとてもイキイキしていてもったいないので、炒めておかずにしたり、スープに入れたり、茹でてごはんに混ぜて菜飯にしている。

そして、もうひとつ。アーティチョークを種で買ってきて、植えてみたのだが、どうやらこれは失敗。葉は大きく育ち、とげとげもあったので、つぼみがいつできるか、いつできるかと待っている間に、シーズンを越してしまった。しかも、未練がましくそのまま置いておいたため、今は寒さでやられて、葉もぐったりしている(それでもなお、土から抜く決心がつかずそのまま…)。

最近、新しくアスパラガスを植えてみた。アスパラガスはどこででも成長する、育てやすい野菜らしいが、今はまだ髪の毛ぐらいの細さの草のようなものが生えているだけなので、これがいつ太くなるのか楽しみだ。

私を以前から知っている人は、野菜を育てているのを知ると、誰もが驚いて、笑う。その通りだと思う。私はアロエもサボテンも枯らすし、花は好きだけど育てたいと思ったことは一度もないし、緑の多い草原や山中へ行くとたいがい手足にブツブツが出てかゆくなる(みどり病と勝手に呼んでいる)。だから、自分の生活と土いじりなんてことは全く無関係だったし、想像したことすらなかったが、気がついたら生活が変わっていた。天気を気にして、太陽の光も雨もありがたいと思ったり、何もなかったところから芽吹いて、育っていく力強い自然を見ていると、自分も力が湧いてくるような気がする。大きな自然のなかの一部分に私があって、私も生かされているんだということがストンと腹に落ちる。

やりたいと思ったことはなんでもやってみる派だけど、やりたいと思ってなくても、そんなにこだわらず飛び込んでみたり、チャレンジしてみたり、流れにのってみるのもいいなと思った。そこで得られることは、当然、自分の想像を超えたものなわけだから。

(2011年1月)