スタッフエッセイ 2010年11月

女性ライフサイクル研究所設立20周年を迎えて

津村 薫

既に桑田がエッセイに書いているし、日記でも複数のスタッフがお礼を書いているが、1990年秋に産声をあげた女性ライフサイクル研究所は、今秋で20周年を迎えた。

去る10月31日(日)には、設立20周年の記念イベントを行ったが、場内は満員御礼。古くから女性ライフサイクル研究所を応援してきてくださった方たち、共に事業に取り組んできた方たち、何度もご依頼をくださって良いおつきあいをさせていただいている方たち、友人、親や我が子まで、会場には感謝したい方々がずらり。本当にありがたいことだ。

冒頭で、「映像・写真で見る女性ライフサイクル研究所20年の歩み」を紹介。中身もないのに生意気を言っている20年前の私の映像が映り(20年前に製作されていた、男女共同参画が女性と仕事について特集したビデオ番組で、村本と私がインタビューに答えている)、場内からは思わず、「おぉ〜」というどよめきや、笑い声があがる。なんと若い!

当時の自分の未熟さを思い起こすと(いや、いまも十分に未熟なんですが、とりわけ昔は・・・)、顔から火が出そうだが、20年経ったら、ちょっとは成長したということで、笑って許してください。未熟者で本当にすみませんでした!と平謝りしたい(誰に?)。

それにしても、村本のインタビューの回答にはうなってしまう。当時から、なんと一本筋が通っていたことだろう。私なんぞは、ここから怠惰な精神を鍛え直していくことになるのだ。七転び八起きというが、私が転んだ回数は数知れず、それでも起きる度に少しずつは力をつけていったのだろう。女性ライフサイクル研究所に育てられたことはいうまでもないが、仕事をすることで、社会に育てていただいた。感謝。

私たち14人のスタッフが全員勢揃いする機会はとても珍しい。たいてい誰かが出張だったり、抜けられない用件が入っていたりするのだ。複数のスタッフが日本にいないということも結構ある。

ずらりと並んで自己紹介をする時間があった。桑田もエッセイでこのことを書いている。私自身、感慨深い思いになった。たった数名でスタートした女性ライフサイクル研究所が、いまや14人という大所帯になった。

それぞれが、誰ひとり欠かせない存在。かけがえのない人生がそれぞれにある。客席には、各スタッフの家族だったり、繋がりのある人が見守っている。それぞれに才能と魅力を持つ人たち。女性ライフサイクル研究所で出会い、力を合わせたり、刺激を与え合ったり、互いを尊敬しながら仕事をしている。誇りにできる仲間たちがいる。これって、すごいことだよなと、あらためて感動した。

お忙しい中、貴重な時間を割いて来てくださったゲスト、芸術教育研究所の多田千尋さんと株式会社マザーネット代表の野上田理恵子さんを迎えて、村本と鼎談していただいた時間も、夢中で話に聴き惚れてしまった。

ドイツでのユーモアの定義は「にもかかわらず笑うこと」だという。これまでの人生、順風満帆で、何の挫折も傷つきもない、そんな人などいる訳もないだろう。にもかかわらず、それでも光の射す方へ向いて生きている人たち、希望を持ち続けて生きるだけでなく、それを人に伝えようとする人たちがいるのだと思う。なんと魅力的な生き方だろう。私もそうありたいとしみじみと思った時間でもあった。

「世の中そんなに甘いもんじゃない」「好きなことで食べていけるなんて一握り」、そんなメッセージを若者に渡してしまう世の中。まずは人生の魅力を伝えてやれる大人であり続けたい、そんなふうにも思う。人生を愛する力、楽しむ力、面白がる力があるからこそ、逆境にあっても希望を失わず、踏ん張れる力が育つというものだろう。

ピアノコンサートで私はいつもナレーションの役。クラシックの知識が薄い私にとっては、味わい深く曲を楽しめる手がかりにもなっていて、役得だと思う。音楽の持つ力をいつも実感させられる。人を慰め、癒し、励まし、元気にさせたり、勇気づけたり、支えたりする。講師という職業を通して、こんな仕事をしたいものだと感じた。

また、世の中にはより良い仕事をしようと考える、心ある人たちが多くいることも実感してきた。こういう方たちと繋がりながら、良い動きを起こしてゆければと思うし、それをまた女性ライフサイクル研究所への好循環にも繋げられたらと思う。

とりとめなく書いてしまったけれど、さあ、また次の10年に向けての出発。これから、どんなことができるのか、何を広げたり深めたりしていけるのだろうか。自分の力をより良く活かして、とにかく元気に楽しく仕事をしていきたいと思う。

感謝と希望。また新たな船出をわくわくと楽しんでいこう。

 

(2010年11月)