スタッフエッセイ 2010年7月

涼を感じる

森葺a代

梅雨があけたと思った途端、連日猛暑日が続く。会う人、会う人「暑いですね〜」が挨拶代わり。暑いと、体力を消耗するが、夏の疲れの解消には、よく食べて、よく寝ることが基本だといわれる。また、上手に休むことも大切で、夏の疲労対策には適度な昼寝も効果的だという。

子どもの頃、夏休みに外で遊んでいると、「昼寝しいや〜!」とよく家に呼び戻された。『眠たないのに・・・』と思いながら、居間に敷いてある寝ゴザの上で横になる。暑い夏でも、必ず、お腹の上にタオルケットを乗せて寝るのが、我が家の習慣だった。傍にはうちわがおいてあり、うちわでぱたぱたしながら寝ていたな。が、時々だれかがうちわで扇いでくれた・・・。母だったか?祖母だったか?暑い日中も、うちわの風はことのほか、やさしかった。

子どもの頃、寝苦しい夜、「暑い〜!」と言うと、「暑い、暑い、言うからよけい暑いねん。みんな暑いねんで」と父に言われた。『暑いって言わんでも暑いもん・・・。みんなかって暑かしらんけど、わたしも暑いもん・・・』と思っていると、「ほら、じ〜っとしててみ。時々、風が吹いてくるで・・・」と父。暑さに耐えながらじ〜っとしていると、「あ、風来た・・・」「あ、また風吹いた・・・」と、時折訪れる夜風の涼しさがうれしく気持ちよく、風を待つうちにいつの間にか寝入ってしまったことを思い出す。

子どもの頃、日暮れ前の夕方、庭の水遣りと、家の前に水を撒くのがわたしの仕事だった。バケツに水を汲み、重いバケツをよっこらしょよっこらしょと運び、外へ出て、杓子で水をすくい、ぱぁ〜っと、一度の汲み水で、勢いよくできるだけ広範囲に水を撒くのがわたしの得意技だった。「涼しなったな〜。おおきに」と、近所のおばちゃんに褒めてもらったりして・・・。うれしかったな。楽しみながらも得意げに水を撒いていたと思う。

水撒きは、暑い夏涼をとる日本人の知恵のひとつで、江戸時代から行われていたという。先日、友人たちと鞍馬山から貴船を散策した折、ふと気づくと貴船川沿いの店の前には、きれいに水撒きがされていた。涼しさと共に、「昔は水撒きしたね」と、ふと懐かしさを覚えた。

わたしは自宅ではほとんどエアコンなしの生活をしている。すると夕方、気温が下がったことを感じ、吹く風の心地よさがうれしかったりする。夕方、朝からエアコンの漬けの息子は自室から出てきて言う「めっちゃ暑いな」。
「じ〜としててみ。ほら、風が気持ちいいで」。

(2010年7月)