スタッフエッセイ 2010年7月

保育園日和

おだゆうこ

梅雨空から晴れ間も見え、今日は保育で何してるかな。「昔むかし〜」の昔話ではないけれど、今日は山に山菜を、明日は川で鮎採りをして、おやつに食べている頃かしら?

この春から、一歳の次女と三歳になる長女が保育園に通い始めた。

今こそ、登園道中から「☆☆テンテー(先生)イクヨー!!」と担任の先生の名前を呼びかけて、「♪キャベツ〜の中から青虫でたよっ♪キャベツがキャーッ!(*_*)」と習いたての手遊び歌で出発進行している二人だが、その道のりはなかなか劇的だった。

自分でも驚く話だけれど、保育園入園の決意をするまでもまた、なかなか大変だった。何が大変って、私自身が子どもを手放す決心をすること。

母になるまで、三歳児神話の偏見から自由になるような子育て支援を心がけてきたつもりなのに、いざ我が子を園に預けようとする時に、自分自身が経験した心理的な葛藤の根底には、やはり三歳児神話があったように思う。

その事に気付いた時は、狐につままれたような、なんとも言えないショック…があった。偏見の根深さ、子育ての奥深さを身を持って学ばせてもらった出来事だった。

なんともお恥ずかしい話だけれど、妊娠中から換算し、多感な年子を授かった母子生活を考えると、一日の大半を子どもと離れてそれぞれの生活をすると言うことは、本当に大きな、世界が一転する変化なわけです(笑)。

でも、それってよくよく考えてみると、怖いことだなぁと。
夫婦ともに両親が遠く、ご近所付き合いや友人はいるものの、日常生活の大半は母子だけの小さな世界が確立されていて、それはそれで楽しくて、だんだんと深いところで新たな変化や他を受け入れにくくなっていることに、当の本人は気付いてないのですから。

『もう後一年、幼稚園の年齢まで。どのみち子どもは離れていくものだし、選択可能な間はもう少し手元で子育てを楽しんでもいいんじゃないか?!』と。

カウンセラーと言う仕事をしていて、色々な方々のお話を聴かせてもらい、自分なりに考察をし、未熟ながらも子育て支援をしていた私ですが、現代社会の中で母親に専念しようとする時に、自然とはまりこんでいく母子密着や小さな家族世界があるような気がしてなりません。

さてさて、子育ての先輩に背中を押され、無事に保育園入園を決心した私ですが、次はやはり、子どもの番。

母子の穏やかな世界から新しい世界に投げ込まれ、まずは次女が、園で有名人になるくらい大泣きをし、お迎えまで根性泣きを見せてくれました(天晴れ!)。その間お姉ちゃんは、こりゃ妹が大変だと我慢してくれていたようで、妹の大泣きがおさまる頃に、これまた粘り強い登園しぶりが始まった。(長女には、“我慢”の弊害を学んだ。)

体も心も引き剥がれる想いで、子どもと離れ、帰り道はブルーな気持ちでいっぱい。巡る想いを、車窓から見える雄大な山々の景色にどんなに慰められたことか…。

 どんなに泣いても、母子共にくじけず登園を続けることができたのは、「我慢することないよ。悲しいもんな。いっぱい泣いていいよ。頑張らんでもいいしな。今日も来てくれてうれしいわ」と子どもを抱っこしてくれて、「お母さん、泣いて当然やし、我慢せんと泣いた方が早く慣れるから。まずは無理せんと、顔だけでも毎日見せにくるくらいのつもりで、ボチボチ行こう!」と、子どもの様子をしっかり見て、受け止めてくれる先生方の愛情と頼もしさがあったからこそ。

生活をひっくるめた保育の場だからこそ、先生方の子どもを見る目、子に合わせたしなやかな関わりに、力強い暖かさがあるんだなぁと、感心してしまいました。

大泣きの嵐から、尾を引いた登園しぶり、流行先取りの貰いもの(流行り病)総攻撃中は、振り返る余地なく突き進むのみの日々だったが、やっぱり、子どもが育っていく過程には、生活レベルで色々な大人が見てくれるのがいいなぁと実感している。

親以外に、我が子を世話し、見てくれている人がいるってこんなに嬉しい、楽しんことなんだと。私にとっても子育て共有チームができたみたいで、毎日の交換日記や先生方やお母さん、お父さん、祖父母…(沢山の方たちが保育に関わっていることに驚いた!)との会話、お友だちとの関わりなどの楽しみが拡がった。

子どもにとってもお家以外に、自分の居場所があり(「私はゾウさん組!」)、抱っこしてもらったり、ご飯や歯磨き、お歌や遊びを教えてくれる、「見て見て〜、あのなぁ〜」と喜怒哀楽を共有し、語りかけ合う人たちが増えたこと、今まで触れ合ったことのない生き物や自然とのつながりができたこと(あひるのガー子、カメさん、色んな種類の蛙やオタマ、お魚、アカハラ、カニ、ザリガニ、昆虫たち…紹介しきれないくらいの仲間と共存していて、お迎えに行くとまずは、生き物たちが「オカエリー」と飛んだり跳ねたりしてお迎えをしてくれている)、世界とのつながりがイキイキと拡がっているように想う。

子育てに正解はないだろし、迷いと悩みはつきものだ。でも、それが小さな子育て世界からの解放のカギになるように思う。迷いに応えてくれる先輩を道しるべに、いざ、拡がりとつながりの子育てへ!!…初心者マーク付き…。

「サヨナラまた夕方(/・・)/~~」とジャンプしながら両手握手する“朝のお別れの儀式”もスムーズになり、今日も元気に保育園日和。

(2010年7月)