スタッフエッセイ 2010年4月

仲間とともに

窪田容子

先日、中学一年の息子が友達と5人で、裁判所に出かけた。昨年、キッザニア甲子園でいろいろな仕事体験をした中で、裁判所の仕事が一番楽しかったと言うから、本当の裁判を傍聴できる機会があるといいなと思っていた。春休みに中高生のための裁判ウォッチングという企画があり、子どもに聞いてみると行きたいというので、友達を誘って申し込んだ。

ちょうど京都の霊山歴史館で龍馬展が開催されていたので、お昼ご飯をどこかで食べて見に行ってみたらとパンフレットを渡しておいた。迷ったり、困ったり、人に教えてもらったりしながら行けたらいいなと思っていたので、事前にいろいろと教えたりせずに、地図とパンフレットだけ渡して送り出した。

案の定、道に迷ったり、コンビニの店員に教えてもらったり、電車にも乗らず2時間近く歩いたりしながらの道のりだったらしい。それでも、みんな「おもしろかった!」と帰ってきた。裁判の傍聴も、とても刺激的だったようだ。

外の世界で、いろいろな刺激を受けて欲しい。親の支えのないところで、困って、他人に助けられる体験をたくさんして欲しい。安全な家庭を離れても、見知らぬ場所でも困っても、何とかなるのだということを感じていって欲しい。そうすることが、安心感をもって外の世界に足を踏み出していくことにつながるだろうから。

自立に向けて、今少し親の手を貸してやりたいと思う。そうして、親から離れ、最初は仲間と一緒であることを支えにしながら、いずれ大きく外の世界に羽ばたいていってくれたらと思う。

子どもとは、親がいっとき社会から預かったもの。ほんの十数年を預からせてもらい、自立し社会になにがしか貢献できるように育てて、社会に返していくもの。その間に、子どもは親に輝く時間という、あまりあるお返しをくれる。

(2010年4月)