スタッフエッセイ 2010年1月

泣き虫

おだゆうこ

我が家の長女はとにかく泣き虫だ。

生まれた時はもちろん、大きな声で泣いたし、病院生まれの彼女は、ナースステーションに預けられている間も一人、ずーっと泣き続けていた。

そのエネルギーは溢れんばかりだった。

それからというもの、オムツや寝くじ、お腹がすいたときはもちろん、歯磨きやお風呂、朝日のまぶしさにさえ涙涙涙。

あまりの泣きっぷりに『泣き虫かおんしん♪』と言うテーマソングを作ったほどだ(笑)

もうすぐ3歳を迎える今尚、掃除機が怖いそうで、「ブーンするよ」と予告すると、一目散に安全領域のソファーの上によじ登る。いきなり始めようもんなら、
「ぶーん怖い!ぶーん怖い〜!」と本泣き!

生活の節々に泣き虫が顔を出す。

彼女の世界と外との出会いはいつも刺激的で涙と感激に溢れ、本人はいつも精一杯。
だから、そばでこちらも泣き笑い。
たいがいのことは、私や家族との間で涙は笑いに変わっていくのだが、どうにもこうにも大変なのが「先生にポンポン(病院)」だ。
これはただの病院嫌いとは訳が違う。

病院を想起させる服や雰囲気を感じただけで、天と地がひっくり返るほど号泣し、他の人が近寄ろうものなら火がついたように泣き叫ぶ騒ぎ。これには、慰めようと手を差しのべた人も、思わずひっこめて退散してしまうほど。

おまじないも、いいきかせも、ご褒美も…ごまかしは一切通用しない。

次女を妊娠して妊婦検診を受けるときなんて、まぁ大変!私がベッドに横たわろうもんなら、「止めて〜!!」といわんばかりにその上に覆い被さって大泣き。私が大変なことになると心配してくれてのことか?!嫌、とても人事ではない真剣な泣きっぷりで先生もお手上げ・・・。

しゃべれるようになってからは、お医者さんの顔をみるなり、泣きながら、「もういい、オッケー、バイバイ」と手をふって、勝手に終わらせようとして周りを苦笑させてきた。
もちろんそうは行かないので、その後号泣することになるのだが。

病院嫌いを遡ってみると、それなりに思いあたる出来事はある。しかし、彼女を見ていると、彼女の泣き虫にはもっと前向きな意味があるような気がしている。

暑い夏が終わると、早々に予防接種&風邪流行シーズンがやってくる。今年は新型なんかが流行ったため、いつもよりも二回も多くチックン(注射)するはめになった。

しかし、彼女はこの冬成長を遂げた。

慌てん坊のサンタさんに貰ったお医者さんセットで、沢山の患者を診察し、注射をして、いつもは、「泣きません!」と無謀な約束をパパとしていたが、「チックン泣いてもいいよ」と言うと、「チックンの時は痛いし、泣いてもいいね。でも、モシモシとアーンは痛くないし、泣きません」と。
何度もお医者さんになったりして本番に臨んだ。

診察室前の待合にくると不穏な空気に…やっぱり泣けてくる。なんとか我慢しようとへの字に口を結んで、約束を守ろうと戦っている姿が見られたが・・・「ウウウッ〜エーンエン!!アァ〜ン!!○×△□★§※・・・」

控え室に戻ると・・・「約束破れちゃったね・・・でもまっいっか?!」だって(笑)。
彼女らしい愛らしさに乾杯!

親バカかもしれないけど、多感な彼女は泣くことで自分の世界の守ろうとしているだけでなく、外からの刺激と彼女なりに折り合おうとバランスをとっているように思う。
「もうたいがいで泣くの止めなさい!」と怒りたくなる時もあるけど、泣くたびに成長し、彼女の世界が豊かになっている、そんな気もしている。

そんな泣き虫の長女が今春から保育園に通う。きっとしばらくは大泣きだろう…。内心かなり心配だが、泣き虫がどんな成長を見せるのか楽しみでもある。

「そんなに泣いてて、保育園行けるの?」と思わずたずねたことがあった。するとすんなりと、目から鱗のお返事がかえってきた。
 「泣くけど大丈夫なんよ。」
だって!!
あぁ本当に毎度ながらこちらが教えられる日々だ。親離れより子離れの方が大変かも・・・

泣き虫でもいい、たくましく育ってね!

(2010年1月)