スタッフエッセイ 2009年11月

お弁当ブーム

下地久美子

最近、巷では、お弁当ブームのようだ。不景気による昼食代の節約というのが大きいみたいだが、「弁当男子」なんていう言葉もできて、男性でもお弁当作りにはまる人が急増中というのは、面白い現象だなと思う。お弁当の本も、たくさん出ていて、仕事の合間に、本をめくりながら、こんなお弁当が美味しそう!と眺めているだけでも、楽しい。

私も、お弁当派で、週に4日ぐらいは、自分でお弁当を作っている。夫も息子も、お弁当を持っていくので、朝は大忙し。と言っても、そんな凝ったものではなくて、前日の晩ご飯のおかずの残りに、作り置きして冷凍にしているフライ類を揚げて、玉子焼きを作るぐらいの手抜き弁当だけど。お弁当箱に、彩りよくおかずを詰める作業というのが、けっこう好きで、わくわくする。人から「お弁当の詰め方が上手い!」と褒められることがあって、一種の才能か?!と、密かに自負している(笑)。

なぜか、お弁当箱に入っていると美味しくなるおかずというのがある。もし、お弁当のおかずナンバーワンを選べと言われたら、私は、牛の薄切り肉を甘辛く炊いた時雨れ煮をあげる。晩ご飯のおかずにすると、それほどでもないのに、お弁当だと、しみじみと美味しさが広がるから不思議だ。次点は、さわらの味噌漬けや、小松菜の胡麻和え、さけの南蛮漬け、れんこんのきんぴらなど・・・、どれも、お弁当に合う。やっぱり、お弁当には、和食系のおかずがいいなと思うのは、年齢のせいかな。

お弁当に欠かせないものといえば、玉子焼き。これは、家庭によって、受け継がれてきた味があるようだ。私は、だし巻きも作るが、しょうゆと砂糖を少し入れた甘い玉子焼きが好みで、これがあると懐かしいようなほんわかした気分になる。

この頃、高校生の息子が、お弁当よりおにぎりの方が食べやすいから、おにぎりにしてほしいと言うので、ここは、おにぎりの具材で勝負と、焼肉やエビフライ、から揚げなどを具にしてみた。息子からの感想を楽しみにしていると、「昆布とかシャケとか、もっと普通のんにしてくれへん」と言われ、がっくり。我ながらなかなか斬新なアイデアと思っていたのに・・・。確かに、おにぎりは、梅干やおかかなどの定番の方が美味しいかもしれない。

これまで食べたお弁当で、何が一番美味しかったかな?と、思い出していたら、20年近く前に、夫の両親や妹夫婦と一緒に沖縄の宮古島へ行ったときのことが浮かんだ。夫の両親は、もともと沖縄の出身で、親戚がたくさんいる。この時は、お昼に近くの海に行き、親戚の人たちが食べ切れないほどの豪勢なお弁当を作ってきて歓迎してくれた。お弁当の内容は、憶えていないけれど、どこまでも青く透き通った海を背景に食べたおにぎりの美味しかったこと。忘れられない味だ。

太陽の下で食べるお弁当は、美味しさが倍増する。大勢でわいわい食べると、なんでもないおかずでも、特別なご馳走に感じられる。子どもたちが大きくなってからは、お弁当を持って出かけることもなくなってしまったが、たまには、外でお弁当を広げるのもいいだろうなぁ〜。

(2009年11月)