スタッフエッセイ 2009年11月

プロセスの醍醐味

安田裕子

久しぶりに,クレープを作ってみた。生クリームとカスタードクリーム,そして,みかんやキウイやバナナなどの果物をふんだんに包み込んだ,でっぷりとした大きなクレープ。1つでお腹いっぱいになるというジャンボサイズ。一口食べると,たっぷり入ったクリームがブニュブニュッと。見た目はちょいと不格好?!でも,甘い自己評価・・・という自覚も含め(笑),なかなかのデキ♪

お菓子作りは楽しい。時間に余裕ができると,ふと作りたくなる。幼い頃から,母がよくお菓子やパンを作ってくれたこと,そして,色んなものを母と一緒に作ったこと。そんな経験が,お菓子作りが好きになるきっかけになったのかもしれない。

誕生日,クリスマス,ひな祭り…,行事がある時には,デコレーションケーキを作ってくれた。私は部分的にお手伝い。スポンジケーキ用に卵と砂糖をミキサーで泡だてたり,生クリームと果物でデコレイトしたり。成形したスポンジケーキの端切れや,生クリームを味見したりということも,プラスアルファの楽しみ。

パン作り。生地をこねこねしながら,ちぎっては丸めたりのばしたりひっぱったり。クリクリとしたどんぐりの目,団子鼻,クリンと曲がったひげ,大きな耳とパーツを作って,動物の顔をつくる。焼き上がりにツヤがでるように,表面に溶き卵をはけでたっぷり塗り,オーブンの中に入れて,スイッチオン!焼き上がるまでの間,まだかまだかとソワソワソワソワ。うまくできるかなぁとワクワクワクワク。もうそろそろいいかな?オーブンの内部をガラス越しに眺め,プウッと膨らみ焦げ色がついていくのを確認する,ドキドキの瞬間。ついに,焼き立てホカホカ動物パンの完成!美味しそうに焼き上がったパン。なんだか食べることができなくて,大切においておいたのがとても懐かしい。

初めてひとりでクッキーを作った時の感動も鮮明である。オーブンを使う,包丁でチョコレートを細かく刻む,台所が小麦粉やバターで汚れるetc,小学校低学年の子どもにひとりでさせるのは,母としては気掛かりな面がたくさんあっただろうと思う。しかし,ひとりで作ってみたいと申し出ると,いいよとあっさりOK。やった〜!自分で作れたということが,なんだか無性に嬉しかった。

技術を習得し,腕を磨いた職人が,セレクトした素材を用いて作るお菓子やパンは,やっぱり美味しい。既製のものを,私も好んでよく買い求めるし,人からいただけるのもまた嬉しい。しかし,素人であっても,自分で,あるいは親しい人と一緒に作るプロセスからは,かけがえのないものを得られることもまた事実である。仕上がりや結果ももちろん大事ではあるが,同時に,何事においても,プロセスを経験し味わうこともまた大切なことだと思う。でっぷりとしたジャンボサイズのクレープ。時間をかけて作り,それを味わい,懐かしい色んなことを思い出しながら,これもまた一興!と贅沢な時間を過ごした。

(2009年11月)