スタッフエッセイ 2009年10月

りんご狩り

おだゆうこ

先月のシルバーウィークに縁の地である長野へ家族旅行に出かけた。長野市内まで高速で5時間!興奮ぎみの幼い姫二人をチャイルドシートにおとなしく座らせておくのは至難の業だ。車内では、長女が気に入っている「ヤッターマン」の歌を「う〜ワンワン♪う〜チチンチ〜ン♪ヤッタ!ヤッタ!ヤッタ!ヤッターァマン!!」とエンドレスに歌いつつ、左手で次女をトントン、右手でお茶やおやつをたべさせながら、秋深まる信州へ向かった。

秋の信州は食べて良し、見て良し、言うまでもなく魅力的だ。りんご、梨、ぶどう、どれも旬だし、うまくすれば新蕎麦もいただける。アツアツのおやきもこの時期だからこそよりおいしく感じられる。山、高原、湖、秘湯・・・どこに行こうか迷ってしまう。軽井沢?上高地?戸隠?数ある有名スポットをすり抜けて私達が向かったのは、黒姫山のふもと黒姫高原の一角に位置する「黒姫童話館」。館の前に広がる小さな高原には放牧された牛、その真ん中には山へと向かう一本道、それらを見守るように美しく在る黒姫山。すべてがぐるっと見渡せるほどの小じんまりとした空間は、なんだかとっても安心感があった。

歩き始めたばかりの次女と芝生の感触を楽しみつつ、ゴロンとなるだけで、一日過ごせてしまうような、ゆっくりとした時間が流れるそんな場所だった。15時を過ぎると深秋の風が肌寒く感じられ、記念に娘たちのイメージにあった、いわさきちひろの絵を購入して館を後にした。館にしろ、高原にしろ、特別なものでもなく何があるわけでもないんだけど、『また家族で来たいね・・・』と思わせるような場所だった。

翌日、移動の途中で目にした、たくさんのりんごの木々の美しさに魅かれ、急遽りんご狩りをすることにした。秋晴の青い空の下、あたり一面の緑の木々に、真っ赤に色付いたりんごがたわわに実っている光景は、本当にうつくしかった。『りんごの木ってこんなにも美しく、まるでぶどうの房のようにたくさん実をつけるんだなぁ〜』と、身近なりんごに新鮮な驚きがあった。農園に入り、りんごの木の下に立つと、甘酸っぱい香りが漂っていて、なんとも言えない幸せな気分・・・。りんごの採り方を教わるとテンションがさらに高まってきた!

りんごの採り方って・・・知ってますか?ハサミで切るでもなく、もぎとるでもなく、回すのでもなく、「りんごのお尻を空にクッと向ける」んですって。
この表現と採り方が私はとても気に入ってしまって、子どもと一緒にはしゃいでついつい沢山採ってしまった・・・。りんごのお尻から見える青空はほんとに気持ち良かった☆

肩車をしてもらいながらのりんご狩りは長女にとっても、とっても気持ち良い体験だったようで、しばらく、“りんご”と言えば・・・「りんご(身振り付きで)こーやってとったの!」という合言葉がはやっていた。もぎたてのりんごは、「こんなに美味しかったのね〜!」と感動を覚えるくらい甘くてみずみずしく、初めてほんとうのりんごに出会った気がした。
結局40個近いりんごを購入して帰ったのだが、長女がジェスチャー付きで、ご近所に配り歩いたため、あっという間にりんごは我が家から姿を消した。それでも、その間我が家に長野の景色を想わせる幸せな香りを漂わせてくれていた。

(2009年10月)