スタッフエッセイ 2009年7月

子どもたちに感謝

窪田容子

上の子が中学に入学して、最初の三者懇談があった。なんだかとてもわくわくしている自分がいた。けれど、先生からの話は、耳が痛い話も多かった。「あ〜あ」と思いながらの帰り道、そういえば最近は懇談で耳の痛い話を聞くことも少なくないのに、なんで私はいつもわくわくしながら行くのだろう?という疑問が頭をもたげた。ため息をつきながら帰っても、懲りもせず次の懇談が来ると、わくわくしながら出掛けていく。他のお母さんからは、懇談に行くのがゆううつだという話も聞くから、みんながわくわくして行っているのではないようだ。

保育園時代、やんちゃで先生の手を煩わせることが多かったにも関わらず、先生たちがとても可愛がってくれて、懇談のときには子どもの良いところをいつもたくさん話してくれていたからだろうか。懇談といえば、楽しい、嬉しいというイメージが染みついたのだろうか・・・。

きっと、それもある。だけど、それだけじゃない。

私は、この子たちの親であることが、とても誇らしいのだ。おもしろい子でしょう、可愛いでしょう、ユニークでしょう、素直でしょう、素敵な子でしょう、きっとそんな誇らしい気持ちで、子どもと並んで先生の前に座っていたのだ。

かなり重症の親バカなのだ。

先生が話してくれた子どもの課題についてはきちんと受け止めなければならないけれど、耳の痛い話の中に先生が差し込んだほめ言葉も、しっかりとキャッチした。

子どもが生まれたときは、世の中にこんなに可愛いと思える存在があることに驚いた。生まれて間もない我が子に寄ってきた蚊にさえ、「この可愛い子に何をするの!」と強い怒りを覚えて、そんな自分に驚いた。

随分昔に、母が、子育てを十分楽しませてもらったから、子どもからお返しして欲しいという気持ちは全然ないと言っていた。その気持ちが、今は分かる。

子どもにしてあげたことよりも、子どもからもらっていることの方が、もうすでにずっと多いなぁと思う。子どもたちが自立する前に、もらい過ぎてしまわないように、親としてこの先どれほどのことをしてやれるだろうか。

今、子どもたちにしてあげたいこと。

街中に住んでいるから、自然と触れ合える機会をたくさんつくってやりたいと思う。この春はいちご狩りに行き、初夏には潮干狩りを楽しんだ。

夏には、種子島の海辺で1週間ほどキャンプをした。皆既日食は天候が悪くて半分の太陽が雲間にうっすらと見えただけだったけど、ほんの数分の間に辺りが夜のように暗くなっていくのは不思議な感覚だった。草の上に寝転がって満天の星を眺めていたら、流れ星がすっと横切ったり、真っ赤な朝焼けや、大きな虹を見たり、風で木がざわめきテントを揺らす音に目を覚ましたり・・・。カヤックや、シュノーケリングで鮮やかな色の魚の群れを見たり、カキを取って食べたり、ミズクラゲやカニをつかまえたり。自然を肌で感じ、からだ一杯に吸い込んだ。

小学生、中学生になった子どもたちにしてあげたいこと。それは、子どもが自分で出来ることまで世話をしてあげることではない。子どもが自立し、社会に巣立っていけるよう手助けをしていきたいと思う。いろいろな体験をする中で、知らないことを知り、たくさんの刺激を受け、その中から、自分の興味、関心を持つことを見つけ、自分の歩む道を見つけていって欲しいと思う。先日はキッザニア甲子園で仕事体験を楽しんだ。上の子たちは裁判所の仕事が一番楽しかったと言うから、本物の裁判を傍聴できる機会を作れたらと思っている。

子どもたちと一緒にいろいろな体験をしながら、そんな時間を私自身が心から楽しんでいる。この子たちの親になれたことに感謝。喜びをたくさんくれる子どもたちに心から感謝。

(2009年7月)