スタッフエッセイ 2009年6月

ジャム?コンフィチュール?

桑田道子

ランチに入った店で、メニューを見ているとデザートのところに「dumpling with bean jam」というのがあり、どうにも気になり、注文してみることにした。豆のジャムのかかった団子…?

というのも、その店はどうも料理が無国籍(というと多少聞こえがいいが、要するになんでもあり)で、ベトナムの生春巻、タイの春雨サラダに、沖縄のタコライス、クリームソースやガーリックオイルのスパゲッティ。デザートもチーズのフルーツ添えとか、ホットクランブルケーキのアイス添えとか、とにかくいろいろある。

そのなかでの「dumpling with bean jam」なので、これはどこの国の食べ物だろう?!と興味津々だったが、なんのことはない、白玉団子のあんこ添えだった。あんこはペーストじゃないの?ビーンジャムでもわからなくはないけど…違和感あり、と思いつつ、家に帰ってからインターネットで検索してみた。

アルクの英辞郎on the WEBによると「(sweet) bean pasteと呼ぶ方が一般的で、実物を知らない人にも比較的正確なイメージが伝わる。bean jamという表現も実際に使われるが、jamの一般的意味から「ゼリー状でパンなどに塗る物」「豆のジャム⇒まずそう」などの誤解が生じやすい。」とあったので、ビーンジャムも間違いではないようだ(でも、確かにまずそうな感じかも)。

豆ジャムが気になったのは、ジャムにはまっているから、なのである。ジャムはジャムでも、最近は「コンフィチュール」とフランス語で呼ばれるのが随分と浸透しているようである。同じジャムでも、呼び方が変わると、なんとなく上品なものに聞こえる。

10年ほど前に友人にもらったフェルベールのジャムが、私の「ジャムといえばいちごジャム」ぐらいの貧弱な認識を改め、ググッとジャムの奥深さに惹きこむきっかけだった。果実がゴロゴロ入っていて、とろみたっぷりのソースがヨーグルトやチーズにとっても合う。イチジク+桃とか、ルバーブ、黒胡椒風味など、食べたことのない味もいろいろあって、美味しくて楽しい。

好みの味からは甘すぎるかな、ということもあるけれど、いろんな味を試してみたくて、それから折にふれ、コンフィチュール専門店でジャムを買い求めている。鎌倉や銀座にある専門店は、ずらっと並んだ色とりどりの瓶詰めがキラキラしていて、ジュエリーのお店に来たかのような雰囲気…。青トマトやそら豆など野菜のコンフィチュールは、料理やドレッシングにも使える。関西では老舗の果物屋さんが作っておられるコンフィチュールや、神戸の北野ホテルのものも有名。

保存料や添加物を使用していないジャムは、私が苦手に思っていたジャム独特の香りや透明感がなくて、本当に素朴で濃厚な味でお気に入りの組み合わせの一品を見つけるのを楽しんでいる。三田のロールケーキで有名なお店が、コンフィチュール専門のお店を出されていて、そこでは「ほうじ茶ミルク」を買ってみたことがある。かにみそのような色に少し驚くけれど、甘いバニラとほうじ茶の香りとうっすらと残る苦味がとても美味しい組み合わせだった。

昨年からテラスで育てているブルーベリーとミニトマト、中玉トマトがそろそろ実をつけ、色づき始めている。いろいろなお店のものを少しずつ食べてきたけれど、今年は、自家製のコンフィチュールに挑戦してみるつもり!目からウロコな、珠玉の一品を作れることを期待して…。

(2009年6月)