スタッフエッセイ 2009年5月

若葉マーク

下地久美子

最近、日本茶に凝っている。これまで、家族で日本茶を飲む人がいなくて、麦茶があれば事足りるので、わざわざ日本茶を買うこともなかった。たまに日本茶が飲みたいなと思ったときには、粗品でもらう安いお茶ですませてきた。

けれど、日本茶に対する見方が変わった。というのも、スクールカウンセラー先の学校の養護の先生が、日本茶にくわしく、保健室に行ったときに、お茶を出してくれるのだが、それが信じられないぐらい美味しい。今まで飲んでいた日本茶はいったいなんだったんだろうと思うほど。きれいな緑色で、まろやかでこくがあって、香りもよくて。日本茶ってこんなに美味しかったんだと、驚いた。先生が言うには、福岡の八女茶というのが好みで、わざわざ産地から取り寄せているそうだ。日本茶といえば、静岡とか宇治しか思い浮かばず、また、産地によって味が違うということなど考えもしなかった。

さっそく、ちょっと高めの八女茶を買って、いそいそとお茶を淹れたが、なんだか違う。もっとこう繊細でやわらかい味のはずなのに・・・と、がっかりした。日本茶を美味しく淹れるのって、本当に難しい。だいたい湯の量に対する茶葉の量がよくわからない。それから蒸らす時間というのも、いったいどれぐらいが適当なんだろう?せっかちなので、早く淹れすぎて、色が薄いと思って、戻して入れてを繰り返すうちに、ギョッとするほど渋くなったりして。日本茶を上手に淹れる人って、すごいなぁ〜と感心する。その点、コーヒーや紅茶は、それほど淹れ方によって差がない気がするが、いまだに日本茶に関しては、初心者の域を出ない。でも、そういうのがなんだか楽しい。湯温を工夫したり、急須を変えてみたり。茶葉に湯を注ぐというそれだけのことなのに、なかなかこれぞ至福の一杯とならないところが、奥が深い。先日、お茶屋さんで新茶を買ってきた。新茶というものにも、これまで全く関心がなかったが、こういうささやかな愉しみができたのも、粋な感じと悦にいっている。

グリーンつながりで、近頃、観葉植物にも、興味が出てきた。昔から、「部屋にグリーンがあるのっていいよね」と、しょっちゅう鉢植えを買ってきては枯らすというのをやってきた。枯らしてばかりいるので、木にも申し訳なく、私には、観葉植物を育てるのは無理だとあきらめてきた。それがたまたま数年前に幸福の木というのをもらった。最初の年は例によって最後の3枚ぐらいまで葉っぱが落ち、絶滅寸前までいったが、春には息を吹き返して、今は、すごい勢いで大きくなっている。特に春は若葉が出て、それを見るだけで「生きてるなぁ〜」と嬉しくなる。今さらながら気づいたのは、観葉植物には、あまり水をやってはいけないということだ。それさえ気をつければ、放っておいてもグリーンは育つ。これまでの失敗の数々は、水をやりすぎていたことが原因らしい。観葉植物は上手に育てられないという思い込みが強くて、これは枯らしてはいけないと気負っていると、過剰に栄養剤をやったりしてダメにするみたいだ。それよりも、ちょっと放任主義で、木の持つ力を引き出すのがグリーンを育てるコツだと発見した。何となく子育てにも共通しているようで面白い。植物に、ちょっと自信がついて、鉢植えを見るとほしくなり、少しずつ買い足して、窓辺に置いている。暮らしに緑があると、それだけで、けっこう幸せな気持ちになれる。

ちょっとくらい失敗しても、やっているうちにうまくいくということは、あると思う。他にも、これは苦手だと、手を出せずにいることがいくつかある。運転免許もそのひとつ。「あなたは、反射神経が鈍いから、車の運転はしないほうがいいよ」と周りの人が口を揃えて言うので、何となく機を逃し続けている。でも、想像の中では、ハイウエイを全速力で駆け抜けるのって、最高に気分よさそう。もみじマークになる前に、ぜひ挑戦してみたい。

(2009年5月)