スタッフエッセイ 2009年4月

不況と若者

前村よう子

昨年、アメリカの金融不況に端を発し、日本は100年に一度の不況期に入ったという。テレビの報道番組でも、不況関連の話題が毎日のように取り上げられている。

他人事ではない。友人の中には、パートタイム勤務先から解雇されたり、時間短縮を余儀なくされた人もいる。正社員の給与カットもある。この春、無事就職したものの、いつ解雇されるか分からない不安におびえている20代の元教え子がいる。

私の世代は、不況期も体験しているが、その一方で若い頃にバブル経済を経験している。子どもの頃には、高度経済成長期やオイルショック、インフレーション等、さまざまな経済状態を経験してきた。そして、それ以前の世代が、「最終的には、国が守ってくれる」と心のどこかで信じてきた国への信頼感が、揺らぎ始めた世代が私達の世代だと思う。

昨今問題の年金制度。社会人になってからというもの、しっかり納め続けているが、今の高齢者が年金を受給するほどには、受給できないのではないか。ひょっとすると、額が減るだけじゃなくて、制度そのものの存続も危ういのではないかという思いが、私にはある。年金をはじめとする老後の生活については、私はかなり悲観主義的だなと思う。

ところが、教え子や卒業生たち、知り合いの子どもたちに聞くと、今の20代は案外楽観的だ。この世代は、物心ついた頃から、ずっと不況と言われる中で育ってきた。数年前にほんのちょっと大卒の求人数が増え、雇用状態が好転したことがあったが、それでも、高度経済成長期やバブルの頃に比べると、楽観視できるようなものではなかった。そんな中でも、若者たちは、前向きに生きている。

「100年に一度の不況だったら、もう、自分が生きている時には、これ以上酷いことにはならないってことでもあるんでしょ」と教え子の一人に言われた時、なんと前向きなんだろうとビックリもしたし、「これくらい前向きじゃないと、この不況期は逆に乗り切れないのかも」とも思った。

若者たちのような柔軟性を、年齢を重ねながらも持ち続けていきたいものだ。

 

(2009年4月)