スタッフエッセイ 2009年2月

深愛深謝〜第二子誕生〜

おだゆうこ

次女が誕生するまで、ハラハラドキドキ、予期せぬ出来事が満載でした。
助産院での出産を決め、助産師さんと楽しく、のん気に自然なお産を夢見ていた私。久々の病院受診をした後は、家族3人で最後の旅行にでかける予定。旅行バックにお菓子や花火を詰め込んでルンルン気分♪で病院に向かった。万事うまくいっているつもりだった。

エコー診察を終え、苦手な内診に挑んだとき、院長の声に緊張が走った!「こりゃいかん!すぐ入院や!」一瞬何が起きたのか訳がわからず、頭は真っ白・・・そのまま旅行バックをもって、行先は病室へと予定急変。私も、夫も、長女も、顔面蒼白『ガガガガ〜ン』。

これからの一か月余りはお産に向けての準備、長女との時間、家族3人の思い出も沢山つくっておこうと、浴衣の準備や花火大会…あれこれ考えていた計画が一気に打ち壊される音がして、なんとも言えない悲しみが込み上げてきた。さっそく点滴とともにはりつけになったベットの上で、産休前に出会うはずだったクライエントさんの顔が浮かんでくるのだった・・・。

内診の結果としてはいつ生まれてもおかしくない状態。切迫早産の危険性大!と言うことで、その日から絶対安静。持続点滴を受けながら1日でも1時間でも長くお腹の中で過ごせるよう祈りながら、不安と戦いつつ、過ごすこととなった。

思わぬ出来事に、生活は一転!長女はいきなり保育園にあずけられ、泣く泣く園に通いつつ、パパと過ごし、夫はママ役に家事と育児と仕事と、てんてこ舞い。時を同じくして姉家族も出産。実家の母もてんやわんやの大忙し。そんな家族の姿を横目に私は何をすることもできず、ベットに釘づけの日々。ママに甘えることも我慢して、小さな体で精いっぱい頑張っている長女の姿を想うと、何もすることができない無念さに涙が溢れる時もあったが、「お腹の子を守れるのはママだけだから辛いだろうけど頑張って!」という夫の言葉に“ハッ”とし、その日からお腹の子の力を信じ、周りの支えに身をゆだねて、前向きに一日一日を大切にお腹の子とつながって生きていこう!と心に決めた。それから次女は私の語りかけに耳を澄まし、よく応えてくれるようになり、幾度か押し寄せてくる危機を共に乗り越えることができた。

そして、退院の日が近づいてきたある夜、ふと今回おとずれた試練の意味に気付くことができた。『お腹の子は私たちの準備が整わなければ出てこない。きっと、病院ではなく、助産院で、長女も夫も実家の母もそろって次女を迎えられる!』そういう確信へと変わっていった。

退院後は、次女を迎えるべく、夫と対話し、母とも連絡を取り、長女と二人きりの時間を過ごした。そして、当初の念願であった38週目を迎えた翌日、ついに“おしるし”がやってきた。夫は仕事を休み、実家の母は夕方にはこちらに到着予定。私は朝からじわじわやってくる陣痛を感じつつ、今か今かと待っていた。

夕方、母が到着し、夕飯を食べているうちに、みるみる陣痛間隔がせばまり「よし、行くか!」とみんなでバタバタと動き始めると、急激に痛みが増してきた。『ヤバイ!』という直感。「急いで!」もう短くしかしゃべれない。何とか車に乗り込み、長女を気遣うも、しゃべることもままならない。押し寄せてくる波を“フーフー、ファーファー”とのがすも、“パシャ〜!パシャシャシャ〜!!”道中の車内でついに破水〜!!!助産師さんに指示を仰ぎ、車内のボルテージはどんどん上がっていく。夫も母も血相を変え、興奮!前を走っているトラックを追い越し、赤信号を突っ切って、最後の信号待ちで車4台をごぼう抜き、我が家の愛車シエンタは救急車と化して助産院めがけてノンストップ!!

長女もこの異様な雰囲気に壊れたレコードのように「一本橋コーチョコチョ!一本橋コーチョコチョ〜〜〜!!」と覚えたての手遊びをハイトーンで繰り返す。車内のボルテージは頂点に!!私はとにかくいきまないように、必死に目を開けて“フーフー”と息を吐きながら『早く着いてくれ〜』と心で叫びつつ、車内で産み落とすのだけは避けようと必死に精神統一をはかり、なんとか助産院の玄関までたどり着いた。

そこから一歩でも踏み出そうものなら、出てきそう!『もう頭が出てる!歩けない!』夫と助産師さんと玄関に立ちつくす私。「布団まで行かなあかん!」助産師さんの言葉に再度奮い立ち、瞬時の合間を見計らって「今!!」と一気に布団になだれ込み、ぎりぎりセーフ!そこから数分で次女はこの世に生まれ出た。

パートナーの助産師さんも間に合わぬ最短記録での出産となり、立会予定の夫が助手をつとめ、パニックになりつつも必死に、見事にわが子を取り上げ、長女とおばあちゃんも、次女が生まれ出るちょうどその瞬間に立ち会ってくれた。

生まれたての次女はつるつるもちもちで、あったかくて、なんてかわいんだろうと心底感じた。産前の不安、車内でのスリルも一気に吹き飛び、幸せな安堵感に包まれて、ここまで支えて、祈って、応援してくださった人たちに感謝の気持ちでいっぱいになった。

長女が生まれたとき、夫婦の絆を強め、神秘的な大きな自然の力を教えてくれた。次女が生まれたとき、お産は私の体験ではなく、私たちがいろんな人たちの関わりの中で生かされていること“つながり”を体感させてくれた。

新たな命が誕生するとき、それは危機であり、チャンスであるように思う。ものすごいエネルギーをもって、私たちをそして私たちを取り巻く関係を突き動かし、必要に応じてその関係を結びなおすべく、共有体験へと導いてくれたこと、生きる力(希望)は“つながり”によって育まれること・・・この体験を忘れず、これからの日常生活や臨床活動に息づいていくようにと。

次女の出産にあたって、クライエントさんや職場の方々、たくさんの人たちにご迷惑をおかけました。赦し、支えて、励ましてくださった皆様の愛情により、無事に出産の危機を乗り越えることができました。この場を借りて心から感謝いたします。深愛深謝。

(2009年2月)