スタッフエッセイ 2009年1月

音楽と思い出

西 順子

 テレビなどで昔懐かしい曲が流れると、その曲が流れていた当時を思い出す。その曲にまつわる出来事を思い出してとても懐かしくなる。聴覚を通して、当時の印象に残っている場面(視覚)、感情、体感覚も思い出すから、記憶って不思議だなと思う。
 
 「昔のヒット曲」として、時々テレビで流れる曲で、記憶と結びついているのが「贈る言葉」。その曲が流れると、ある場面を思い出す。高校三年の時、「金八先生」のテレビドラマを見た後、主題歌の「贈る言葉」の歌詞「人は悲しみが多いほど、人には優しくなれるのだから・・♪」を、しみじみと感じ、自分に言い聞かせるような気持ちだったことを思い出す。どんなドラマの内容だったかは忘れているが、今から思うと、きっとこんなふうに自分のことを理解してくれる大人がいれば・・と思ったのかもしれない。
 他にも、どんな曲が思い出深いかな・・と記憶を辿ると思いだしたのは、高校時代にファンだったチューリップ。チューリップの曲は、自分の部屋でよく聴いた。印象に残っているイメージは、夜、部屋の電気を消して、夜空を眺めながら聴いていたこと。空を見ていると、広い世界へとつながっている感じがして、好きだった。今思えば、希望へとつながる感じがしていたのだろう。

 大学に入ってからは、音楽系のサークルに入ったので、先輩や友達の刺激を受けて、洋楽を聞くようになった。特にスティービーワンダー、アースウィンド&ファイアーなど、ブラック・ミュージック系が好きだった。TOTOなどロック系も好きだし、リズムと歌が力強いものが好きだった。でも一番好きなのは、じーんとくるバラード。当時よく聞いた音楽の思い出は、音楽仲間と共有していた楽しかった感覚である。家を出て、少し世界が広がって、自分の事でいろいろ悩みはあっても、世界が広がるワクワク感があった。
 
 就職した頃は二時間の電車通勤。通勤電車の中で、ウォークマンを聴きながら自分の世界に浸っていた。そして、結婚、妊娠、出産してからは、仕事と子育てに忙しく、音楽からは離れていた。でも待てよ・・。よく考えてみると、子どもが小さい間は、子ども番組の音楽を(「ひらけポンキッキ」「お母さんと一緒」など)CDやテープで子どもと一緒によく聞いていたっけ。子どもの成長とともに、自分の好きな音楽を聴く余裕もできると共に、子どもの影響でテレビの歌番組を見たりして、今流行の曲も聴くようになった。
 そして近年、子どもが中学、高校になって、よく聴くようになったのはJ-POP。昨年は、コブクロ、絢香のCDを皆でよく聴いた。今年に入って、我が家で人気急上昇しているのがミスチル。今、ミスチルのCDが、居間のデッキと子ども部屋のデッキの間を行ったり来たりしている。
 
 私は洋楽を聴くようになってから歌詩は二の次になっていたが、子ども達は「歌詩きかないと、意味ないやん」と、歌詞がよくてこそ「いい曲」と言う。歌詞全体が、自分の心情にぴったりくるものにはなかなか出会えないけれど、歌詞の一部、フレーズには、共感できるものもたくさんある。子どもに言われ、どれどれ・・と、曲と共に、共感できる部分の言葉(歌詞)もじっくり味わうと、涙が出そうになってしまった。子ども達は歌詞の意味を理解しながら音楽を聴いているのかと思うと、自分の世界をもって、しっかりと生きていこうとしているんだなと、今更ながらに気づかされた。
 親と子、世代は違っても、「この曲いいよね〜」「この曲好き〜」と音楽を通して、共感しあえるって、おもしろい。J-POPは、子ども達が思春期・青年期の入り口の頃、巣立ちの前のひと時、一緒に音楽を楽しんだ思い出になるだろう。
 
 今年はこれからまた、どんな音楽に出会えて、音楽と共にどんな出来事が思い出となっていくのか、楽しみにしていたい。

(2009年1月)